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コラム

住宅省エネリノベーション補助金の公募が始まります

2016年3月27日

テーマ:補助金

コラムカテゴリ:住宅・建物

暖冬ではありましたが、今年も寒い冷たい冬が終わろうとしています。

実はわたくし、5年前の今頃は失業中でした。

あの大震災の直前に長年勤めていた工務店が倒産(2月28日)。
翌日3月1日にハローワークへ出向き、未払い賃金の請求手続きをし、雇用保険の手続きを済ませ、さてこれからどうしようか、というタイミングで東北大震災が発生。そして福島原発事故。

世の中が完全にマヒした状態で、個人事業で設計事務所を設立いたしました。
ちょうど5年前の3/27に開業願いを建築事務所協会に提出しに行きました。

勤務していた工務店がやり残した物件の何件かを引き継ぎ、取引先や職人さんたちに頭を下げ、一念発起でこの業界に戻ってきてしまったのでした。

周りからはキチガイ呼ばわりされ、自分自身まったく経営というものを知らずしてこれまで来てしまったもんですから、1つの道具を買うにしろあれこれ悩み、現場に落ちている釘1本を拾い集め、コンビニでもらうビニール袋のありがたみをかみしめ、働き、つまずき、おかげさまでOBのお客様や、それでも変わらず接してくれた職人さん、材木屋さん、建材問屋さんのおかげで、何とか船をこぎ出しました。
まさに「九つ転び十起き」で、これまでなんとかやってくることができました。

寒い冬にも春がくるものだと、すこし感傷的な思いで、最近夜の街を散歩したりしています。


昨年もつらい出来事がありました。

お付き合いのあった年配の大工さんが、突然逝ってしまったのです。
透析で通院しながらも材木を加工したり、Rebornで製造販売しているグリーンラックが繁忙期の時など手伝いにきてもらったりと懇意にさせていただいておりましたが、浴室で息を引き取りました。

私がこの業界に戻ってきた理由は、
できるだけたくさんの人たちに、『快適で温度差のない健康的な暮らし』を提供することです。
加えて言うならば、自身が培ってきた木造住宅の設計ノウハウを、今後もさらに練り上げ、安心して暮らせる家によみがえらせる。つまり断熱と耐震を軸としたリフォームをすることにより、多くの人がもっと快適に安全に暮らせるのではないか。
それこそがReborn(リボーン)という社名の由来なのです。

それなのに、、、、近くにいる人を亡くしてしまいました。

これからはもっと声を大きくして、断熱改修や耐震改修をPRし、
同時に、もっとお求めやすく、もっと早く、だれにでも手が届く工事として洗練してゆく必要があると思っています。

耐震化率100%
さらに高断熱化率100%を目指して、残された人生をそこに捧げたいと考えています。

今年2月、極寒の時期に信濃毎日新聞の記事にて、断熱改修についての記事が掲載されました。



健康と断熱の関係性がいわれるようになったのはここ数年です。
しかし、だれがどう考えても室温や湿度が安定した室内に暮らす方がいいに決まっています。
それを科学的・医学的に立証して「さぁみなさんも」って言われても、
なかなか「そうか、すぐやろう」という方は少ないのだろうと思います。

やはりハードルになっているのは費用面か?
それとも面倒くささか?


これまでもなんとか凌いでいたのだから、これからも我慢できるはず。
こんなに古い家なんかどうせ壊して建て替えなきゃ、そんなふうにはできっこない。



それにしても年間1万人超えとはすごすぎます><
私たち住宅建築に携わる者の、間接的な殺人とも言えるのかもしれません・・・。

「無知や施工不良は人を殺めてしまうこともある」

私たち設計や施工の実務者は、そういう意識で取り組まなければならないと思うのです。

断熱改修をすると、実際にどのくらい室温が変わるのかを少しお見せできます。



このグラフはいわゆる「寒い家」の室温と外気温との記録です。1月下旬の長野市内のとある方に協力していただき、居間に計測器をセットさせていただきました。
あきらかに室温の変動が大きく、南向きの居間でこうですから、当然北側にある浴室や脱衣室はさらに室温は低いはずです。




こちらは、そのお宅を断熱改修した後の記録です。
外気温に影響されず、室温が安定しています。しかも1つの部屋のみでなく、浴室や脱衣室などを含めて、ほぼ同じようなグラフになります。

新築では多くの家がこうなっているハズですが、断熱材の設計厚みが薄かったり(基準ギリギリ)、断熱施工不良、はたまた暖房の機種選定ミスなどがあると、こうした安定した気温が得られません。

たとえ既存の寒い家であっても、その家の状況やご予算にもよりますが、このグラフとまったく同等の性能まで高めることができます。

住宅省エネリノベーション
27年度補正予算で始まりました。3/31から公募開始です。


こうした情報もなかなか一般の方々には届かないもどかしさを感じています。
できれば近くにいる人たちに活用していただきたい補助金です。

平成27年度補正予算 住宅省エネリノベーション促進事業費補助金
大工のNさんのご冥福を心よりお祈りいたします。
すまんかった!泣

この記事を書いたプロ

塩原真貴

木造住宅を耐震・断熱構造に生まれ変わらせるプロ

塩原真貴(株式会社Reborn)

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