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コラム

「米の放射線実測図、政府が放置 原発事故避難に生かさず」の報道に思う・・・

2012年6月18日 公開 / 2014年7月17日更新

テーマ:ニュース雑感

コラムカテゴリ:くらし

朝日新聞デジタルの朝刊トップを飾る見出しを見て、「また、こんな事実が後出しで明らかになったんだ・・・。」と呆れてしまいました。

スーパーコンピューターで放射能汚染の広がりを予測する緊急時迅速放射能影響予測システム「SPEEDI」の「予測データ」公表が遅れた事がさんざん問題となっていましたが、実は、「米エネルギー省」が福島第一原発事故直後の昨年3月17~19日に米軍機2機を使って、地上の放射線量の分布をGPSにより電子地図に示す空中測定システム(AMS)を使い、福島第一原発から半径約45キロの地域の線量を「実測」していたのだそうです。

「その結果、福島県の浪江町や飯舘村などを含む福島第一原発の北西方向に、30キロ超にわたり1時間当たり125マイクロシーベルトを超える高い線量の地域が帯状に広がっていることが判明。この線量は8時間で一般市民の年間被曝(ひばく)線量の限度を超える数値だった。」と朝日新聞デジタルの記事は述べています。
さらに同記事は重大な事実も指摘しています。
それは、「外務省によると、測定結果を基に作製された汚染地図は3月18日と20日の計2回、在日米大使館経由で同省に電子メールで提供され、同省が直後にメールを経済産業省原子力安全・保安院と、線量測定の実務を担っていた文部科学省にそれぞれ転送した。文科省科学技術・学術政策局の渡辺格次長ら複数の関係機関幹部によれば、同省と保安院は、データを公表せず、首相官邸や原子力安全委員会にも伝えなかったという。
米エネルギー省はこの測定結果を、3月23日午前(日本時間)に米国内で発表したが、日本政府内で素早く避難計画に反映させようとする動きにはつながらなかった。文科省の渡辺次長は朝日新聞の取材に、『すぐに公表すれば良かったと今は思うが、当時は提供されたデータを住民避難にいかすという発想がなかった。安全委などにも伝えるべきだった』と話す。」(朝日新聞デジタルより)

政府が飯舘村など5市町村を「計画的避難区域」に指定したのは、事故から1カ月以上経ってからであり、その間に避難する方向や範囲が正確に分からないまま、誤って被曝するという事態が起きていたわけで、「致命的な判断ミスだ。」と柴田徳思・東大名誉教授(放射線管理)が指摘するのは尤もな事なのです。
これだけ科学的、客観的なデータが揃っていたにも関わらず、当該官庁や担当者の自己責任に基づく迅速な判断で大きな被害を防ぐ事が出来なかった分けです。
省庁や関係官僚の言わば責任回避的な事なかれ主義の無作為によってデータが公表されず(隠されたのと同じ事ですよね)、首相官邸や原子力安全委員会に伝えなかったという国の統治機能不全(責任放棄と当事者意識の欠如)の組織運営やシステム不全が明らになったのです。
それなのに、根本的な責任体制と組織やシステムの運営の見直しは手付かずのまま、今までの体制を変えることなく「原発再稼動」をなし崩し的に容認し、この大事故から何も学ぼうとしない私たちの「国」の在り方とはいったい何なのでしょうか?・・・。

「足と靴の相談室」ロビンフット長津田 http://www.robinfoot.co.jp/

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