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財田和典(たからだかずのり) / 経営コンサルタント

株式会社リンクウィル

コラム

技術の伝承よりも技術の移植

2022年1月18日 公開 / 2022年1月23日更新

テーマ:技術伝承

コラムカテゴリ:ビジネス

コラムキーワード: 採用支援キャリアコンサルティング経営戦略

こんにちは。「専門家を使う専門家」のコラムの翻訳者、えりかです。

今回のコラムでは、“社内での技術の伝承と社外からの技術の移植”についてのお話です。
このコラムのポイントは、“技術伝承と技術移植の違いと意味を知る”ことです。
そこで“どちらが必要かを認識すること”が重要になってきます。


さて、専門家を使う専門家の話が始まります。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
本日のお話は、「技術の伝承」と「技術の移植」についてです。
どちらも専門的な用語ですが、簡単に申し上げますと「技術の伝承」は社内での技術の伝達、「技術の移植」は社外から技術を取り入れることです。

わかりやすくお話するために、例え話としてよく使うのは、銀座のレストランの例です。
化学会社を経営するAさんが30年懇意にしている銀座のレストランがあります。
経営者のAさんは、毎回注文するのは当然ながら中華料理のフルコース。
しかし、先日の人間ドックの健診結果で「塩分を減らすように。」と書かれました。
さあ、健康に気をつけようという意識になり、今回に限って「減塩して料理してください。」と注文しました。ところが出てきた料理は、さすがに塩分は控えめになっていましたが、形も一部崩れて今までの料理の形からは違ったものでした。
「おい、なんだ、これは。いつものシェフは辞めたのか?」と問い詰めると、出てきたのはいつものシェフで、彼が言うのは、「私は先代のシェフの書かれたレシピ通りに作っていました。それでお客様も満足されていましたが、今回のあなた様のようにレシピに手を加えよと言う要請には、どこをどう変えたら良いのかわかりません。精一杯頑張って作ったのがこの料理です。申し訳ありません。」と言われました。
なるほど、原因は、昔、レシピを作ったシェフが引退しているから、それからは、レシピの通りに作っているだけ。
そこに「減塩」と言う変化点の要請があって対応した。そうしたらどうなるかわからないが、とりあえずチャレンジしてみたところ・・・。

優秀な経営者であるA様は、「これは料理だけには限らない。わが社でも製品で同じことが起こっていないか調べさせよう。」という事になりました。

調べた結果は、「30年間、同じモノを作り続けてきたが、その間に最初に配合を決めた(つまり料理で言うレシピ)人間は既に引退しているか亡くなっている。確かに配合表(レシピ)はあるが、それを変更した経験が無い。何か変化点を加えた時に、元の配合表のどこをいじってどこをいじってはいけないかについては、現在の社員では経験が無いのでわからない。」と言う恐ろしいことが判明しました。

これはこの会社だけに限らず、日本のものづくりが抱えている今日的な課題ではないでしょうか。

この課題は、最近、言われている「技術の伝承」ということでだけでは解決できません。
「技術の伝承」は社内の暗黙知である技術を顕在化して形式知にして、それをAIやITツールを活用して誰でもが見える化して使えるようにすると言うやり方です。

はたして、Aさんの会社では、そのために経営コンサルタント会社に「技術の伝承」の支援をお願いしました。でてきた企画書は、確かに細かいプログラムが記載されてありましたが、管理技術による固有技術のあぶり出しのように思いました。
確かに、社内では文章で伝承されていないで人の頭に残っている技術を社員の皆様にヒアリングして顕在化させることをやってもらうことに外部のコンサルタントの価値はある。しかしながら、それは作った時点ですぐに「技術の古文書」にならないか。技術競争のキモになる「カン・コツ・急所」については、それを持っている本人も分からないはないか。それを何時間もかけてあぶりだすことが果たして有効だろうか。あぶりだしたところで、当社の過去から現在にかけての「技術の歴史書」にしかならず、そんなものに時間を使うことは無駄ではないか。

むしろ、他の会社では常識であるが、当社にとっては目から鱗の技術を取り入れて、その結果として配合表も見直す、その時、当然出てくる変化点にどう対応するかは自社の技術者の良い機会になるだろう。「技術の伝承」よりも「技術の移植」であると判断されました。

これまでの技術の見える化である「技術の伝承」と新しい技術を取り入れる「技術の移植」、そのどちらを取るかは皆様の会社でのご判断になります。
ただし、技術は積み重ねであり、人が辞めることにより、既に失われてしまった技術、それは「技術の移植」での移植手術により早急に回復させなければなりません。
「技術の移植」は管理技術での整理ではできません。その固有技術を持った技術者から師匠と弟子の関係を作り、時間をかけて体得せねばなりません。


経営者の皆様からの「技術の移植」についてご相談をお待ちしています。
「技術の移植」は、「技神」で対応致します。
詳しくは、私たちの行っています「技神」https://wazagami.com/をご覧ください

関連のコラムとして下記もご覧ください。
技術伝承はほんとうに必要なの?
https://mbp-japan.com/hyogo/takarada/column/5096016/
~コンサルタントの選び方~固有技術と管理技術のどちらのコンサルタントを選べばいいの?
https://mbp-japan.com/hyogo/takarada/column/5096964/
「固有技術」と「管理技術」を間違えてコンサルタントを選んだ例
https://mbp-japan.com/hyogo/takarada/column/5089740/
必要なのは「固有技術」と「管理技術」のどちらの専門家?
https://mbp-japan.com/hyogo/takarada/column/5089367/


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