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経営者に行って欲しい、離職が続く会社の考えられる原因とその対策

2023年5月7日

テーマ:組織づくり

コラムカテゴリ:ビジネス

社員が入っても離職が続く組織にはそれなりの原因があります。
しかしながらその根本的原因である “真因” は経営者の目にはなかなか入らず、現象のみに囚われてしまう事が多くなります。
この現象への対策ばかりを行っていても離職の流れを止める事は出来ません。
そこで経営者の方々に持って頂きたい幾つかの着眼点をご紹介させて頂きたいと思います。



1.労働条件
➢考えられる原因
離職が続く会社の改善すべき項目の第1位にあがりやすいのがこの労働条件の改善ですが、労働条件の改善のみで離職が止まるのかというと、そんな簡単な話ではない事が多くあります。
労働条件に関しては当然の事ながら法律に適応出来てる事が求められますし、同業他社と比較して同等レベルである事が望ましいと言えますが、極端に好条件にする必要はないと思っています。
多くの場合、労働条件は「その他諸々の問題」対「労働条件」という様に、無意識的に比較を行い、「労働条件」より「その他諸々の問題の方」が勝ってしまうと離職に繋がるという図式になっている事が多いと想定されます。
その為「労働条件」を良くすると一時的に離職は少なくなりますが、「その他諸々の問題」が解消されているわけではない為、やがて離職の波が押し寄せる事になります。
➢対策
「労働条件」が極端に見劣りする場合は改善が必要ですが、同業他社と同水準の場合は、労働条件以外の問題に目を配らせる事を意識するようにして頂きたいと思います。



2.キャリアアップ
➢考えられる原因
キャリアアップというと「労働条件」とイコールのイメージを持たれる方もいらっしゃいますが、社員目線で捉えると「労働条件」というよりも「承認」の印象の方が強いと考えられます。
自分の頑張りや能力に対する今までの評価と将来への期待がキャリアアップという形で示されます。
“人は承認を求める生き物” ですので、この会社における「承認」の欠如は離職の要因になり兼ねないという事です。
また結婚やマイホームの購入、子供が出来て家族が増える、などの生活スタイルや価値観が変わる出来事などがあると、冷静に自分の将来を考える事があると思います。
その時に「自分のこれから先のキャリアがこの会社には存在しない」となると離職に繋がる事が想定されます。特にこの場合の離職は、成果を出せる社員が多く、会社にとってはかなりの痛手となる事が考えられます。
➢対策
創業間もない会社であっても、社員のライフプランを先読みしたキャリアの設定を行って頂きたいと思います。新入社員として入社してから自分の将来にどの様なキャリアが待っているのか、またそれぞれのキャリアにはどの様な要件が必要となるのかを、具体的に設定する必要があります。
新たなキャリアの設定を行うにもイメージがなかなかわかないという場合にお勧めなのが「社員の声を集める」事です。
社員数が多い場合は選抜社員で、社員数が30人以内であれば可能であれば全員で、20年後(15年後でも10年後でも可)、今の会社で働いている前提で、どのくらいの規模の組織で、どの様なポジションで、どの様な仕事をしていたいか、という意見を交わす場を設けて頂くと、社員の希望するキャリアのイメージがわくと思いますし、想像していなかった意見が出てくる事もあると思います。



3.人間関係
➢考えられる原因
離職の原因として多く見られるのが、この「人間関係」なのですが、社員間の人間関係の問題が経営者の目に留まる事は少なく、また人間関係問題の張本人は、経営者にとっては“良き社員” に見えている事も多く、より改善を難しいモノにしています。
場合によっては経営者がその張本人になっている事があり、自分では気づく事が出来ない為、事態はどんどん深刻化していく事になります。
この経営者が張本人になっている場合、会社を良くしたい、社員に幸せになって欲しいと思い、社員とコミュニケーションを多くとる様にした結果、離職が増えているというケースがあります。
一般的には、経営者が社員とコミュニケーションを取ると、社内風土は改善し、社員の士気は高まり、社員のやる気と定着率の向上に繋がるはずなのですが、そうならない事があります。
比較的多くみられるケースですが、経営者が幹部社員との雑談の中で、構想中のアイデアを話します。経営者はあくまでも雑談のつもりなのですが、幹部社員はそのアイデア実現の為に動き始めます。
数か月後の会議の席で、経営者から今後の方向性についての話が持ち出された時に、幹部社員が動き出していた構想中のアイデアとは全く異なる事が伝えられました。
この様な事が何度か繰り返されると、幹部社員は経営者に不信感を持つようになりますし、幹部社員の指示で準備をしていた社員がいた場合は、その社員も幹部社員に不信感を持つようになるという、負の連鎖が起こりはじめてしまいます。
➢対策
まずは意識的に理想とする社内風土を作りに掛かる事です。
理想的社内風土になると、その風土に馴染んでいない社員は浮き彫りになって参ります。
どれだけ経営者にいい顔を見せようとしても、風土に馴染んでいないのは一目瞭然となりますので、まずはここからはじめて頂きたいと思います。
経営者のコミュニケーションに関しては、人それぞれ異なりますので、具体的な対策はお伝えしかねますが、構想中のアイデアは社員には伝えない事と、ご自分の考えや意見よりも社員の話を聞き、承認をする事、を最優先に行って頂きたいと思います。



4.方針への不満
➢考えられる原因
経営方針への不満の場合は「採用の不一致」と考えられますが、「年度方針への不満」が離職の要因となっている場合、社員の目から見ると、方針が理念に合っていないとみえているか、事業領域に合っていないと見えている可能性があります。
また理念にも事業領域に合っているが「方針への不満」が理由になっている場合、その社員とその社員の上司のコミュニケーションに問題がある可能性があります。
➢対策
理念や事業領域に合っていないと判断できる場合は、方針の設定の仕方を見直して頂きたいと思います。
方針を設定しながら経営理念からぶれていないかを常に確認しながら設定する様にして下さい。
社員と上司のコミュニケーションに問題がある場合は、「方針への不満」というよりも「方針を理解・納得出来るかどうか」という事になりますので、上司のコミュニケーションの取り方を確認し、問題がある場合は、どの様なコミュニケーションでなければ部下・後輩が理解・納得出来ないのかを指導して頂ければと思います。



5.業界風土、社内風土の不一致
➢考えられる原因
これも「採用の不一致」と考えられますが、理念の様に掲げているものであれば「合う、合わない」は入社前に判断出来ますが、業界の風土や社内風土の様に、働いてみてからでなければわからないモノが離職の要因になる事は少なくありません。
➢対策
インターンシップ制度を導入するなど、職場の環境を肌感覚で捉えてもらう事が重要だと考えられます。
また会社説明会などで、仕事の遣り甲斐や楽しみを社員の口から伝えてもらう事も風土の不一致を回避する上でのポイントとなります。



弊社では
◉キャリアアップの設定を伴った人事考課制度の作成
◉年度方針策定サポート
◉経営理念の浸透サポート
◉社風分析
◉採用コンサルティング
などを行っておりますので、
それぞれの対策を行ったモノの改善が見られない場合は無料相談をご活用頂ければと思います。

組織の歯車が嚙み合っていない原因が解明し、改善すれば、見違えるほど成長される組織はたくさんあります。
何がその原因になっているのか…。
その原因の解明に今回の内容が僅かながらでも、ヒントになっていれば嬉しく思います。

この記事を書いたプロ

藤田佳孝

美容室の人材コンサルティングと心理カウンセリングのプロ

藤田佳孝(Gems Consulting Office 株式会社)

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