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分譲マンションの管理会社の位置付け

2014年10月9日 公開 / 2023年9月23日更新

テーマ:マンション問題

コラムカテゴリ:法律関連

 分譲マンションの管理組合では、多くの場合、組合業務の一部を管理会社に委託していると思います。

 典型的なのは、みなさんからの管理費の徴収などのお金の管理です。
 多くの場合、管理組合が直接徴収するのではなく、管理会社が代行して徴収し、管理しているのではないでしょうか。

 また、管理人を実際に雇っているのも、管理組合ではなく管理会社で、管理人はあくまでも管理会社の一員としてやってきているということが多いのではないかと思います。

 そのほか、マンションの清掃やエレベーターの保守管理なども、管理会社を通じて委託しているケースがあるのではないかと思います。

管理会社に委託するメリット

 マンションの共用部分の管理や、管理費や修繕積立金の徴収、管理などは、細かい事務作業が多く、こうした対応を管理組合の役員が担うのは非常に負担が大きいものです。

 そう考えると、これを管理会社に委託することは、業務負担という観点から考えればとても有益であるということになります。

管理会社任せの弊害

 しかし、「委託」と表現したとおり、管理会社というのはあくまでも「本来管理組合が自分でやるべきことを引き受けているだけ」です。
 ですから、自分たちのために何でもしてくれるというような存在ではありません。

 管理会社も会社ですから、自己の利益のために業務をしています。
 利益を出す方法としては、管理組合のために徹底的に親身になって信頼を得ることにより、委託してくれる管理組合を地道に増やしていくという方法もあります。
 しかし他方で、少しでもコストを抑えようとして同じ管理費のまま委託業務をなるべく控えるということを考える会社がいないとは限りません。

管理会社の位置づけ

 このように、管理会社というのは、本来的に「管理組合のために働く」ということが決まっている存在ではありません。
 ですから、マンションに住む組合員のみなさんは、その管理会社が本当に自分たちのマンションのためになる業務をしてくれているかどうかということを絶えず監視していなければ、思わぬ不利益を被る可能性があるのです。

 もし本当に自分たちの味方を探したいということであれば、よい管理会社を選別して探すというだけでなく、「マンション管理士」という存在を頼る方法があります。
 このマンション管理士は、まさに管理組合のために助言等をすることが目的の資格者です。
 ですので、本当に自分たちのマンションの管理に親身になってくれる助言者が欲しい場合には、管理会社に頼るのではなく、マンション管理士に相談することを考えた方がよいと思います。

 なお、マンション管理士と同じようなマンションに関する問題の相談業務は、弁護士でももちろん可能です。
 マンションの構造や機能といった面の知識はマンション管理士の方が強いかもしれませんが、幅広い法律知識や裁判での見通しなどという面では、弁護士の方がふさわしいと思います。
 ですから、うまく使い分けることを考えてみていただければと思います。

 もっとも、すべての弁護士がマンション問題に詳しいとは限りません。で、その点はお気を付けて弁護士を探してみて下さい。

この記事を書いたプロ

川島英雄

交通事故・医療事故の被害者を守る法律のプロ

川島英雄(札幌おおぞら法律事務所)

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