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コラム
社会的手抜き
2023年3月13日
約100年前に、ドイツの心理学者リンゲルマンは、綱引きの実験を行いました。綱引きに参加する人数が増えるたびに個人がどのように力を発揮するかを調べる実験でした。もしそこで相乗効果が発揮されれば、綱引きに参加する人が増えるたびに、より大きな力が発揮されることになると予想されたのですが、実際にはまったく違う結果が出ました。2人で構成されたグループは期待値の93%、3人で構成されたグループは85%、8人で構成されたグループは49%しか力が発揮されなかったのです。
つまり参加する人数が増えれば増えるほど、1人の力が発揮されないという現象が発生したのです。集団で作業を行う場合、メンバーの人数が増えれば増えるほど1人当たりの貢献度が低下するというこの現象は、リンゲルマン効果と名づけられました。
リンゲルマン効果は社会的手抜きともいわれ、次の事例がよく紹介されています。1964年、アメリカの某マンションで女性が暴行にあいました。彼女は殺されるまでに30分以上かかっている上に、38人ものマンション住民が目撃していながら誰も通報することなく結果、彼女は見殺しにされました。「誰かが」という心理が事件への関わりを妨げたのです。
なぜ、1人のときよりも集団で動くときに力が発揮できないのでしょうか。その最大の理由は、集団の中で自分の存在感を認識できないからだとされています。綱引きでいえば、自分が努力しても綱引きの勝敗が決まるわけではない、自分1人が頑張ったとしても大勢に影響はない、という理屈がまかり通ってしまうのです。
会社組織においても、たとえばミーティングで、自分自身によいアイデアがあっても、自分がプロジェクトの責任者ではないとの理由で、発言しない場合が見られます。
リンゲルマン効果を遮断するにはまず、「自分1人くらい」という考えを「自分がやらなければ」と変えていく必要があります。そのために以下のような取り組みが必要です。つまり、自らの存在意義に響かなければならないということです。
- 個人の仕事の役割や意義を明確にする
- メンバー各人の業績や努力を簡単に確認できるようにする
- 個人に集団への貢献度を評価する機会を与える
「担当する仕事と個人の役割に対して誇りを持つ」
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