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佐藤浩明

消化器内科専門医で「内視鏡検査」のプロ

佐藤浩明(さとうひろあき) / 内科医

さとうクリニック内科・消化器科

コラム

中程度の湯温の入浴で睡眠改善?

2018年6月17日

テーマ:医療マメ知識

コラムカテゴリ:医療・病院

コラムキーワード: 糖尿病 食事糖尿病 症状糖尿病 予防

中程度の湯温の入浴で睡眠改善?

おはようございます。福島市 さとうクリニック内科・消化器科の佐藤です。今朝は‘中程度の湯温の入浴で睡眠改善?’という報告です。

 現代の日本人は入浴をシャワーのみで済ませることが多いが、湯船に漬かって体を温めることは良質な睡眠の秘訣ともいわれる。しかし、その温度はどれくらいがよいのかー。奈良県立医科大学の研究者らは入浴が睡眠の質に及ぼす影響について検討。その結果、中程度の湯温(35.2~40.8℃)での入浴が睡眠の質を改善することが示唆されたと報告した。

 対象は入浴記録およびアクチグラフによる客観的睡眠指標が測定できた946例。研究期間は外気温が比較的低い10月~翌年4月で、浴槽の湯温は温度計を用いて連続2日間持続測定し、入浴が睡眠の質に及ぼす影響について検討した。946例の内訳は、入浴群721例、非入浴群225例で、平均年齢はそれぞれ71.4歳、72.9歳と、入浴群で有意に高かった。性や喫煙・飲酒習慣、身体活動量などの基本特性および高血圧や糖尿病などの臨床指標に両群で有意差は認められなかったが、BMIは入浴群の方が非入浴群よりも有意に高かった。

 入浴群の入浴開始時刻は午後8時38分、入床時刻は午後10時31分、入浴時間は12.3分、湯温は40.8℃、浴室温度は16.6℃であった(いずれも平均値)。また、全体の入床から入眠までの入眠潜時は16.0分(中央値)、平均入眠後中途覚醒時間は49.1分であった。 次に、平均湯温の中央値をカットオフ値とし、中温群(35.2~40.8℃)と高温群(40.9~44.9℃)に分け、両群で入浴時の睡眠指標の非入浴時からの変化を比較検討した。分析を行ったところ、非入浴時に比べて中温群では入眠潜時が0.2 log分、入眠後中途覚醒時間が4.8分それぞれ短縮し、睡眠の質が有意に改善することが示唆された。一方、高温群では有意な睡眠の質の改善は認められなかった。

 以上の結果から、同研究者は「地域在宅高齢者において、中程度(35.2〜40.8度)の湯温による入浴が睡眠の質を改善する可能性が示された」と結論付けた。本研究の結果は、手足を温めることで入眠潜時が短縮する実験研究と同様の結果であり、今後、睡眠改善に最も適した入浴温度などの研究が必要である」との見解を示した。

 近年は高齢者の不眠が問題となり、厚労省としては高齢者には睡眠薬等の筋弛緩作用を有する薬剤は転倒などの危険もあるため、なるべく処方は控える様にとの方針になって来ています。上述の様に入浴で睡眠の改善が認められるならば薬剤等に頼らずに試してみる価値はあるかも?知れませんね。

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