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佐藤浩明

消化器内科専門医で「内視鏡検査」のプロ

佐藤浩明(さとうひろあき) / 内科医

さとうクリニック内科・消化器科

コラム

握力の低下にも注意?

2018年5月21日

テーマ:医療マメ知識

コラムカテゴリ:医療・病院

握力の低下にも注意?

おはようございます。福島市 さとうクリニック内科・消化器科の佐藤です。今朝は‘握力の低下にも注意?’という報告です。

 握力と健康アウトカムの関連が指摘されている。英国・グラスゴー大学の研究者らは、UK Biobankのデータを解析し、握力は全死因死亡のほか、心血管疾患、呼吸器疾患、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、がんの発生やこれらの疾患による死亡と関連し、従来の診察室ベースのリスク因子に加えると、死亡や心血管疾患の予測能を改善することを明らかにした。筋機能が低下するほど、死亡率や罹患率が増加することが多くの研究で示されている。また、低い握力は不良な健康アウトカムの範囲の拡大と関連し、年齢や性別に握力測定を加えると、死亡の予測能が強化されることが報告されている。

 2007年4月~2010年12月の期間に、年齢40~69歳の地域住民がUK Biobankに登録され、このうち握力のデータがある50万2,293例を解析に含めた。被験者は、握力の強さで4群に分類された(Q1:最も弱い群、Q2:2番目に弱い群、Q3:2番目に強い群、Q4:最も強い群)。全体の平均年齢は56.5歳、平均フォローアップ期間は7.1年でこの間に1万3,322例が死亡した。握力が5kg低下するごとに、全死因死亡の危険率は男女とも有意に上昇した(女性の危険率:1.20倍、男性の危険率:1.16倍)。同様に、心血管死(女性1.19倍、男性1.22倍)、呼吸器疾患死(女性1.31倍、男性1.24倍)、COPD死(女性1.24倍、男性1.19倍)、全がん死(女性1.17倍、男性1.10)などの危険率も、握力5kg低下ごとに男女とも有意に上昇した。

 著者は、「握力の潜在的な臨床的有用性を確立するには、リスクスコアやリスクスクリーニングにおける握力測定の導入に関して、さらなる検討が求められる」と指摘している。

 以前より老化は足から来ると言われていますが、筋力低下は当然握力にも反映されますから注意が必要な様です。握力の低下を実感するのはなかなか難しいかも知れませんが、一つの目安としてはペットボトルの栓が開けられなくなるということがある様ですので注意が必要です。

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