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佐藤浩明

消化器内科専門医で「内視鏡検査」のプロ

佐藤浩明(さとうひろあき) / 内科医

さとうクリニック内科・消化器科

コラム

トップアスリートはうつの危険が高い?

2016年8月16日

コラムカテゴリ:医療・病院

おはようございます。さとうクリニックの佐藤です。今朝は「トップアスリートはうつの危険が高い?」という報告です。
 オーストラリア・ディーキン大学の研究者らは、競泳の精鋭選手(エリートアスリート)におけるうつ病の発生状況を評価した。その結果、上位25%にいる選手集団はうつ病の頻度が2倍高く、成績不良がうつ病と有意に関連していることを報告した。結果を踏まえて著者は、「エリートアスリートは、とくに成績不良がきっかけとなり、うつ状態に陥りやすい。選手のメンタルヘルスを考慮し、適切なタイミングで的確なサポートをすることが重要である」と結論している。
 カナダのオリンピックおよび世界チャンピオンチームのエリートアスリートにおける、成績不良に関連するうつ病と自己報告によるうつ症状の発生状況を評価するため研究を行った。対象は、カナダの大学に籍を置き、カナダ代表選手権に出場した水泳選手50例(男性28例、女性22例)であった。うつ病の診断は、事前に大まかな質問事項を決めておき、回答者の答えによってさらに詳細に質問を重ねるインタビューにて行った。うつ症状は、うつ病調査票により評価し、成績は、タイムとランキングの変動により評価した。これらは、予選試合が終了した後に実施した。
 主な結果は以下のとおり。
・試合前、選手の68%が大うつ病エピソードを呈し、その割合は男性に比べ女性選手のほうが多かった。
・試合後、選手の34%がうつ病と診断され、26%が自己報告による軽度~中等度のうつ症状を認めた。
・上位25%にいる選手集団はうつ病の頻度が2倍高く、この集団では成績不良がうつ病と有意に関連していた。
・エリートアスリートにおけるうつ病の頻度は、既報告よりも高いことが示された。

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