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寺田淳

シニア世代が直面する仕事と家庭の問題解決をサポートする行政書士

寺田淳(てらだあつし) / 行政書士

寺田淳行政書士事務所

コラム

今の仕事、次の仕事とどう向き合うか?

2023年10月11日

テーマ:50歳からの人生

コラムカテゴリ:ビジネス


【はじめに】

 人口減少を受けて今や60代現役は当たり前、
むしろこれまでの経験を活かせるシニア世代は注目の的に!

 こういう意見もあれば、
AIの更なる普及でますます人手は減少の一途で
アナログ人間=デジタル初心者のシニア世代には
労働環境の改善の恩恵はないのでは?

 まさに正反対の意見があるのも事実です。

 今回は、現職との向き合い方、第二の仕事との向き合い方
それぞれについて紹介したいと思います。

【転職を果たした場合】

 まずは転職を果たしたものの、
結果として以前の会社に留まった方が良かった。

 このような結果になる原因にはどんなものがあるでしょうか?

・給与は安かったが、仕事はやりがいがあった?
・とにかく働きやすい職場だった?
・残業もなく自由時間が多かったので家族との団欒が楽しめた?
・転職先が直後に吸収合併されて一気に給与が下がった?
・やりたかった業務の部署が転職直後に新設された?

 これを今の転職先への不満としてみるならば、
・給与は上がったが、仕事内容には満足できない。
・待遇や肩書は希望通りになったが職場の雰囲気が最悪。
・毎日残業で休日出勤も常態化で家庭内に不穏な空気が・・・

 あとの2つは不運な巡り会わせとも言えますし、
事前の情報収集に問題があったのかもしれません。

 ともあれ、一度決断をして転職自体は叶ったものの
自分が思い描いたような結果が得られなかった。

 
振り返ってみれば、
「前の職場や仕事内容はそれほど悪くはなかった。」
「もう少し慎重に行動すればよかった。」

 こんなケース、貴方は当てはまってはいませんか?

【転職をせずに現職に留まる場合】

 今度は逆のパターンです。
転職をせずに現状に留まる選択をした結果、どうなったか?

・自分の後に転職した後輩が転職先で出世した
・転職予定だった会社が新製品の大ヒットで株式上場した
・今の会社が不渡りを出した
・業績悪化で給与が引き下げられた
・上司が異動し、そりの合わない上司が来た
・不本意な部署へ配置転換された


 会社の将来を見据えること等、一般個人に限界があるのは事実です。

 それでも、上記の事例の中でもいくつかの案件は
自分で情報収集に励んでいれば、把握出来た情報だったのではともいえます。

 仮にそうであれば、
なお現職に留まっていたのかどうか?
判断の分かれるところではありますね。

【転職の際のコスト、リスク、リターンの関係】

 今の生活から一変する新たな仕事に就くという場合、
転職の場合にはどういったケースが想定出来るでしょうか?

 最高なのはローコスト~ローリスク~ハイリターンでしょう。
ですが、現実には絶対とは言いませんが、まずあり得ないケースでしょう。

 次はハイコスト~ローリスク~ハイリターンです。
この場合、最大のネックはハイコスト=初期投資の問題で
資金調達によっては「ハイリスク」を生じる場合も想定出来ます。

 ハイコスト~ハイリスク~ハイリターン 
これは、一種のギャンブル的選択? 
第二の人生を託す仕事としてはかなりの不安要素が感じられます。

 ローコスト~ローリスク~ローリターン 
いわゆる、堅実路線の選択となります。
再雇用や定年延長もある意味この範疇に入ると言えるでしょう。

 ローコスト~ハイリスク~ハイリターン 
選択は容易です、ただ大きな決断を強いられる問題は残ります。

 ハイコスト~ハイリスク~ローリターン 
事実上こういった選択をするケースは無いと言えるでしょう。


 ここでいうところの
「自分にとってのコスト」には何があるでしょうか?

初期投資に必要な現金以外のコストとしては、

 一定期間の技術の習得に必要な費用としてのコスト
 一定期間の資格取得の為の勉強というコスト
 一定期間の実地訓練、丁稚奉公的な時間にかかるコスト

 ざっくりと見て「おカネ、学習、時間」の3つは
転職でも起業でも発生するコストと捉えていいのではないでしょうか?

 今貴方が目指す仕事にはどのコストが最も大きな比重を占めていますか?


 次にリスクには何があるでしょう?

 競合の存在
 市場の規模
 全くの新規事業で現状の認知は低い
 安定収入のめどが立たない(当たればデカい? コンスタントな収入?)
 自身の適性
 家族の理解と協力

 以上は主に起業・独立の際のリスクですが、
転職の場合でも市場での競争力や市場の将来性、自身の適性(相性)等は
共通する項目ではないでしょうか?

 同様に、貴方の目指す次の仕事に想定されるリスクの中の最大のものは何でしょう?


 最後のリターンについては

 現状を上回る収入の見込み
 現状維持が可能な収入の見込み
 年金や、配偶者の収入と併せれば現状維持が可能な収入の見込み
 趣味に全額投入出来る規模の収入の見込み

 もちろん収入~金銭面だけがリターンではなく、
やりがいの獲得、社会的な評価等も本人にとってリターンと思えば
それがリターンとなる訳で個々の事情によってその解釈は幅広いと思われます。

 貴方が最も手にしたいリターンとは何でしょうか?

【4番目の問題とは?】

 意外に厄介なのが。前項の最後に触れていますが、
「やりがい・生きがい」「承認欲求」の問題もあります。

 これもリターンと捉えることも出来ますし、
当事者の心が最優先される問題であり、自己責任の範疇で考えるものでしょう。

 具体的には、新たな仕事を探す場合の優先順位です。

 最高・最適を目指すのか?
 最低・最悪を避けるのか?

 どちらを優先するか、選択の際の立ち位置を決めておく事です。

 気を付けるべきは
「やらなくていいことをやって、やるべきをやらない」事です。

 プライオリティの徹底検証
 現実逃避
 決断力の欠如
 勘違いや思い込み
 自惚れ、情報不足、または情報過多
 
 自分勝手な計画(妄想?)にマッチした
都合のいい情報だけに注目し否定的な情報はスルーしてしまう。

 自分の今までの経験値だけを
全ての判断基準において計画する、選択してしまう

 仮に失敗、見込み違いな結果に遭遇した場合、
他責に奔ることで根本的な原因を追究しない

 過去の事例研究の際に
成功例だけに注目し、失敗例は参考にしない

 新規ビジネスのメリットだけに固執し、
全て成功を基準として周辺情報を評価してしまう
 
 自分に対する過大・過剰な自己評価、能力の過信

 ビジネスとして軌道に乗るまでの期間と
費用を軽視している(自分なら即成功を疑わない?)

 競合の存在やその脅威、
事業開始のタイミング等を考慮しないで開業してしまう

 リスクマネジメントの不徹底(自分は失敗しないので?)

 一度決めた計画をなかなか修正、延期、取り止めの決断が出来ない
(融通性の欠如? 自信過剰?)

 殆どの失敗のケースは
この中の一つ、または複数が原因となったケースが大半です。

 今、転職や起業・独立を考えている貴方は
上記に該当するような行動や考え、身に覚えはないですか?


 最後になりますが、以下の点を改めて述べておきます。

 前項で挙げたコスト、リスク、リターンの前に
何故その仕事に就くことを目指すのか?
 
 収入の安定、向上を前提として考えるからか?
 今は得られていないやりがいや達成感、社会的貢献の為なのか?
 社会的評価や名声を勝ち取る為なのか?

 最初にこの立ち位置を確実に築いておきませんと、
後になって様々な食い違いや行き違いに遭遇し、後悔や挫折となります。

 何度もこの場で書いてきていますが、
まずは仕事への向き合い方、今の自分を正確に把握し、今後はどうしたいのか?
この点をよく考えてからて転職や起業・独立を目指して頂きたいものです。

この記事を書いたプロ

寺田淳

シニア世代が直面する仕事と家庭の問題解決をサポートする行政書士

寺田淳(寺田淳行政書士事務所)

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