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寺田淳

シニア世代が直面する仕事と家庭の問題解決をサポートする行政書士

寺田淳(てらだあつし) / 行政書士

寺田淳行政書士事務所

コラム

大きく様変わりしたシニア向けビジネス

2022年3月29日

テーマ:再就職・転職

コラムカテゴリ:ビジネス


【今日のポイント】

 先日、たまたま2012年に投稿したこれから成長が見込まれるビジネス
をテーマにした記事を掲載していました。

 約10年後の今、コロナという想定外の事態に遭遇したとはいえ、
当時注目されていたビジネスは今どうなったでしょうか?

【レジャー・観光業】

 当時から少子高齢化が顕著となっていた社会の中で、
比較的余裕のある生活が出来るシニア層を始めとする
高齢者向けのサービスは成長が有望視されていました。

 当時の当時の調査では、
60代のシニア層を対象とした事業について、
ホテル業では46,9%の企業 、
旅行業では47,0%の企業が注力するとのことでした。

 その根拠としては、
それまで景気後退の中でも消費の中心はシニア層で、
それまでの「モノ~耐久消費財の購入」から
「コト~レジャー観光など体験型娯楽」にシフトしていることから、
旅行業 やホテル業、またはシニア向けの スポーツ施設等の企業が
新たな市場として、5%以上の成長を見込んでいました。

 10年前と言えば私も50代なりたてでした。
再就職先や転職先の候補として話題になっていたことは覚えています。

 ですが約10年後の令和の今、
コロナ蔓延によってレジャー、特に宿泊を伴うそれは
自粛のやり玉に挙げられてしまい、経営状況は悪化の一途です。 

【介護福祉関連】

 高齢者向けに期待出来るビジネスとしては、
在宅福祉関連の産業、特に介護を含めた訪問福祉サービスも注目されていました。

 2012年度で11,2%の伸び、 同じく有料老人ホームは7,6%増を見込んでおり、
家事代行・支援業なども高い伸びを見込んで(期待して)いました。

 他のサービス関連企業でも同様で、
今後開拓・強化したい顧客層はどの世代か?という問いかけには
「60代以上への注力を強化する」という回答が多かったようです。

 皮肉なことにここでもコロナ感染の影響で
施設内感染やクラスター発生等職場環境の問題が生じています。

【コロナによって激変したシニア市場】

 10年も前に今の事態を想定しろというのは無理な話ではありますが、
特にこの3年でシニア向けのビジネス環境は大きく変貌しています。

 シニア層自体はコロナ禍に関係なく年々増加の一途を辿っていますが、
そのシニア層の需要が見込まれた旅行や観光といった産業が苦境に陥り、
未だ先は見てこないのが現状です。当然ここでの求人(再就職・転職先として)
も大きく変動しつつあります。

 同様に起業や独立を目指した場合でも、
飲食やサービス、物販の大半で時短営業を強いられ売り上げ激減が続いています。

 当時の予想で今後有望なシニア向けビジネスと言われた業種、
その世界で第二の仕事に就くことで「悠々自適なシニアライフ」を実現する
といった青写真とは正反対の事態となっています。

【影響はシニア世代だけでなく】

 シニア世代だけに限らず、
今や中堅どころの40代や30代にとっても、厳しい現状は他人事ではありません。
転職や起業の目論見は、大きく軌道修正を余儀なくされています。

 個人事業者として飲食や娯楽業での起業を目指していた方は、
テイクアウト専門店への営業形態の見直しを強いられるケースや
計画自体の白紙化、無期延期と言った事態に追い込まれることも。

 他にも目指す業界への転職を希望していたものの、
その業界自体がコロナの直撃で業務拡大どころか経営悪化に歯止めがかからず、
リストラや早期退職勧奨に舵を切った等で中途採用が見送りになったということも。

 唯一の救いと言えそうなのは、
一時の感情的な動機での早期退職や、時流に流されての独立志望といった
安易な行動は確実に減少したことだけでしょう。

 事実直近の有効求人倍率は上昇傾向にあるという記事が出ましたが、
求人が増えたというよりも求職者側の活動自粛によって倍率上昇となったとありました。
 
 とはいえ、会社に定年まで残留と予定を変更したとして、
今度は会社自体がそれを許すかという問題に直面します。

 早期退職勧奨や関連企業や子会社への出向や転籍の推奨、
その会社自体の行く末にも暗雲が漂ってきた例も少なくありません。

 前にも書きましたが、
これまでも~ショックや~不況という景気後退はありましたが、
今回の様に全世界、全産業に「平等に」被害を与えるような状況は
未だかつて経験していないのではないでしょうか?

 当然ながらいつかはこの感染も終息を迎え、
日常の世界は戻ることと思います。

 ですがその時に既存のビジネスの中で
今まで通りの仕組みが通用するものは何があるでしょうか?

 10年前の記事を投稿した時は、
シニア向けビジネスの担い手はシニア予備軍とも言える
50代を意識していました。

 生きてきた時代も近く、シニア層に共感できつつ、
現役の強みも活かせるのは50代と考えたからです。

 ですが、
今後も確実に拡大するシニア市場に対して、
コロナ禍の中で、あるいはコロナ収束後の社会で
各産業が、企業がどういった対応を図っていくか?

 恐らくは
50代以下の40代30代の現役バリバリの世代も
シニア向けビジネスに参入してくることは必至でしょう。
いわば世代に関係なく横一線のリスタートになると思います。

 これまでは比較的同世代間での求職活動が主だった時代から
確実に同じビジネスに参入を図る若手の競合世代は増加します。

 どんな求職にも言える事ですが、
今まで以上に狭き門と化すシニアビジネスで仕事に就きたいのであれば、
ますます自分自身の職歴や経歴の中から他人と差別化出来る強みを見出すことが求められます。
決して根拠のない情報や無責任な他人の評価に惑わされず、自分が納得する業種、職種での
就職活動に専念することが大切なのです。

この記事を書いたプロ

寺田淳

シニア世代が直面する仕事と家庭の問題解決をサポートする行政書士

寺田淳(寺田淳行政書士事務所)

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