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寺田淳

シニア世代が直面する仕事と家庭の問題解決をサポートする行政書士

寺田淳(てらだあつし) / 行政書士

寺田淳行政書士事務所

コラム

営業しか出来ません じゃなくて 営業が出来ます!  と考えませんか?

2023年3月14日

テーマ:再就職・転職

コラムカテゴリ:ビジネス


【はじめに】

 今の仕事について尋ねた際に、「営業しかやってなくて」「営業なら出来ますが」
といった営業職に対して自らネガティブな考えを持った方がいます。

 営業は、そんなものなのでしょうか?
今日はこの点について紹介したいと思います。

【営業よりも資格が上に?】

 先に書いたように、転職や再就職の相談に来られた方に対して
「今までの勤務先で経験してきた業務を全て棚卸して自分の強みや特技を探してください。」
という問いかけをまず最初に口にします。

 この時数名の相談者の方は、
「入社以来営業部門一筋で営業しか出来ません。」
「特に資格も持ってません、やってきたのは営業だけです。」
というややネガティブな返答をするのです。

 はっきりとは言いませんが、「営業なんて誰でも出来る」
といった考えを自らもってしまっているようです。

 そういう見方なので、語学検定の資格や技術系の資格を持つ方、
資格ではないもののIT業務のスキルに長けたという方には敵わない?
といった固定観念を持ってしまっているようでした。

 確かに、業務によっては語学力が求められたり、
特殊な資格がなければ従事できない業務もあります。

 ですがそれが全ての分野で再就職や転職、あるいは起業や独立の際も
大きなアドバンテージになると考えるのはどうでしょうか?

 どうも営業という仕事は今でも「誰にでも出来る仕事」と思われているようです。

【営業の仕方は千差万別】

 まず、ひと口に営業と言っても、全くのワンパターンではないのです。

 営業をする相手は
一般消費者に直接販売するのか? 
小売店を相手に販売するのか?
卸問屋が直接の取引先なのか? 


 営業をかける相手、商売の相手は全て異なるはずです。

 それぞれの相手の特徴(ニーズ)に合わせた営業スタイルが求められることは
言うまでもありません。

 さらには、取り扱う商品が産業用の商品であれば、
商売先はメーカーや公共施設などかもしれません。

 取引相手が違えばアプローチの方法も、何が採用の決め手になるかも
全く異なってくるのです。

 少しでも仕入れ値や販売価格が安ければそれが一番
 粗利が一番稼げるのが一番
 黙っていても売れるような楽な商品を提供してくれればそれが一番
 なんと言っても高品質、安全性、耐久性が優れていることが一番

 相手の要望が違うのに、アプローチが全て同じでは
それは営業とは言えませんし、営業が出来ている訳でもありません。

 相手のニーズに加えて、
自分が任された市場エリアの事情によっても
営業のスタイルは変わってきます。

  • 既にシェアトップを確実にした自社の安定的な市場
  • 複数の同業社によって激戦が続いている市場
  • 競合他社が圧倒的にシェアを占める市場


 それぞれの市場の違いに合わせた営業手法を考えていかねば
戦う前から勝負の結果は見えてます。

 この様に営業職と言うのは、実に多方面に情報網を張り巡らし、
相手が欲する情報を的確に選択し、最適なタイミングで提供する、
実に総合的なスキルを発揮しなければ務まらない仕事なのです。

【営業職に求められるものは?】

 営業の基本は事前に入念な情報収集をすること。
普段のやり取りの中から相手の隠された要望を把握することです。

 その為には、コミュニケーション能力や対人折衝力は欠かせません。
さらに相手が興味を持っていることに対応が出来る程度の一般的な知識や
最近のトレンド情報を常に把握しておくことも欠かせません。

 勘違いされることが多いのですが、
饒舌であることイコールコミュニケーション能力に秀でているのではないのです。
私の知る中でも非常に寡黙で、無駄話は苦手と言いながら、相手から不満や要望を
自然に話させるような状況をごく自然に生み出すという稀有なスキルの持ち主が
何人もいます。

 事実、その方は人との会話は今でも苦手と言うのですが、多弁ではなく、
自然と会話を促す「聞き上手」「話させ上手」な点は得難い営業力なのです。

 無論商売上の競合がいるのであれば、
競合先の商品や販売ノウハウの知識を持つことも勝敗に大きく影響します。

 より突き詰めれば、
市場の動向や業界の動向や将来展望の最新知識、
経営に関係する計数管理の知識なども先方の責任者とのやり取りの中では
大きなアドバンテージに繋がるのです。

 この様な知識を持っていても聞かれもしないうちに口火を切れば
人によっては「上から目線で話してきた」「教えてやる感が気に入らない」
等の逆効果になってしまう場合もあるので要注意です。
下手に知識が豊富な方がやりがちな失敗がこれです。

 必要な時に、必要な範囲でアドバイスや補足をする。
寡黙であった方がこういったやりとりには向いているのでしょう。

【営業に必勝法はありません】

 営業を長くやっていれば、時には芳しくない結果に終わるときも来ます。
それがどんな要因による結果であっても(自分ではどうしようもない外部要因)
予算未達と言う結果に変わりはないのですから。

 ですが、
予算は未達だったが、前年比は110%を達成していたとなればどうでしょう?
受けるイメージはかなり違ったものになるのではないでしょうか? 

 もともとの予算設定に問題ありき? という見方も出来るのです。

 仮に市場全体が縮小したとしても、
インストアシェアの面から見た場合、大きくシェアを伸ばした!
という結果もあるのです。

 要するに他社よりも優れた実績が残せているならば、
自分としては及第点と考えてもいいのです。

 前年比は上回ったのですが、予算は未達でした。
 予算は未達でしたが、前年比は上回ることになりました。

 同じ結果でも、受け取る側の印象は大きく変わるのです。 
終わりよければすべて良しとは言いませんが、
次に期待が続くような言い回しや解釈は決して誇張でも虚偽でもないのです。

 長い営業生活の中では
してやったりといった会心の成功例もあれば、
競合相手が勝手に転んだ結果、成功に繋がった例もあるでしょう。 

 その反対にここまでち密に企画したのに結果は失敗に終わった、
自分以外の原因で勝てなかったという苦い経験もあるはずです。

 この得意先ならこの方法で失敗することはない。
 この手法なら絶対他社には負けることはない。

 ということは「絶対にありえません」
必勝パターンはないというのが「絶対間違いない」ことなのです。

 また自分では当たり前、無意味、無価値と思っていることが
実は重要な情報源、成功のヒントになるというケースもあるのです。

 営業では常に好奇心と現状の分析、問題提起と言う
ややもすればマンネリ化しやすいことを意識すべきです。

 うまくコトが進んでいるときに、どうしても好奇心が薄れがちになります。
それは注意力の散漫、問題意識の希薄化となっていきます。

 世の中の全ての人が自分と同じ経験を重ねているはずはありません。
相手によっては貴方のその経験談が初お目見えの貴重な情報だった、
となることも少なくありません。 

 ちょうど取引先が今その問題で足踏みしているのであれば、
既に経験済みの貴方の経験は得難いノウハウになるのです。 
自分では当たり前と思っているセールストークや業界情報が
その会社には全く存在していなければ、大きなアドバンテージになります。

 冒頭で述べた自分の履歴を棚卸しするということは
成功失敗の見直しを図ることで今も通用するノウハウ、
十分差別化に繋がる自身の経験等を再発見する機会を持つ
という意味を持つのです。


 こういう考えを前提にすれば、
「しか出来ない」ではなく、「が出来ます」という自信の裏付けになるはずです。

 同じ会社で、同じ部署で、同じ仕事をしていても、
身につくスキルや修得したノウハウは個人個人で変わってきます。 
必ず人と違う差別化出来る自分だけの強みは見出せるはずです。

 却って資格や語学力のように決められた中で発揮するスキルよりも
千差万別、融通無碍な動きが許されるのが営業の仕事です。

 自分に見合った必勝パターンを作るも良し、
自分独自のノウハウを活かした活動に徹するも自由なのです。

 自分の営業力はそういった業種、どういった取引先に
100%力を発揮できるか? その見極めが出来れば、
営業が出来るという強みは、最大のセールスポイントになるのです。 

この記事を書いたプロ

寺田淳

シニア世代が直面する仕事と家庭の問題解決をサポートする行政書士

寺田淳(寺田淳行政書士事務所)

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