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寺田淳

シニア世代が直面する仕事と家庭の問題解決をサポートする行政書士

寺田淳(てらだあつし) / 行政書士

寺田淳行政書士事務所

コラム

ハローワークで聞いた今のシニア再就職事情

2022年2月17日 公開 / 2022年2月18日更新

コラムカテゴリ:ビジネス


【今日のポイント】

 このコロナ禍の中でも再就職や転職のために
ハローワークを利用される方は少なくありません。

 2年を超えるコロナ禍によって
従来から変わりつつある就職活動もあれば、
コロナに関係なく備えておくべきものもあります。

 今回はそのような中から一部を紹介したいと思います。

【書類選考の重要性が拡大中】

 このコロナ禍の中で明らかに変わった選考のプロセスが
「書類選考」の位置付けだそうです。

 従来の採用の手順としては、
多くの場合、書類選考の後に概ね2回の面接を実施して、
人となりを吟味していたそうです。

 それが現在は面接は最終の1回限りに「削減」され、
それまでは全て書類選考だけというスタイルが増えて来たようです。

 こうなりますと、
採用側とのファーストコンタクトとなる「書類」の出来不出来が
今まで以上に大きな影響力を持つということになるのです。

 以前は、よほど内容が貧弱な経歴書でなければ、
一度は面接の機会を設ける為、その場で直に自分の想いや
募集動機を直接伝えることが可能でした。

 これが今の採用の仕組みの中では「削減」とされたようです。

 履歴書なり、職務経歴書なり、記載内容はまさに千差万別です。
微に入り細に入り、事細かに時系列に書き出す方もいれば、
決意表明同然の内容だけの場合もあります。

 この書き方が絶対に正解というものはありませんが、
無駄な内容や、偏った見識を書くことは
その時点で「減点評価」を避けられません。

 残念ながら、
多数の応募があればあるほど、
「減点主義」で「効率的に」
選考を進めることは否定出来ません。

 この会社には自分の経歴の何を前面に押し立てて記述すれば関心を引くか?
 自分のこのスキルが会社のこの業務に貢献するという理由を中心に記述する?
 
 どちらにしても、
事前に応募する企業がどういう人材を求めているかを
推測、調査しておきませんとポイントを掴んだ表現は出来ません。

 こうなりますと、
どの会社の募集用紙にも判で押したような内容を書いていては
結果は推して知るべしでしょう。

【就職の為の優先順位は事前に確定させて】

 これは今に限らず、10年前から言われていることですが、
多忙の中、ようやくハローワークの面談の予約を取ったものの、
「私はどういう職種に向いていますか?」
「やる気はあります、いい会社を紹介して下さい。」
といった第一声を発するケースが今もあるそうです。

 これでは貴重な時間を無駄に使うだけです。
やはり面談前に時間を割いてハローワークのHPを閲覧し、
興味のある企業を選んでおく、又は自分の職歴が活かせそうな
会社や業種の募集状況を把握する等の準備が必要です。

 加えて、ここは譲れないという条件も決めておきましょう。

~これからの生活の確保のための最低収入が基準?
~勤務地が30分以内、1時間以内等の地域的な制約がある?
~勤務形態に条件がある(フルタイム必須?、パートタイム希望?等)
~業種に固執?職種に固執?

※さすがに時節柄か「肩書」への拘りはほぼ無くなったようです。

 特に、ハローワークでの相談の場合、
在職中の方であれば訪問時間に制約があります。
多くは勤務時間がハローワークの稼働時間と重複します。
加えて同僚や上司の目にも気を使いますから
安易に訪問し難いとも言われてます。

 また、長時間の対面でのやりとり自体が
濃厚接触のリスクとなる為、一人当たりの面談時間も
限られたものになるようです。
 
 せっかくうまく時間を都合して対面での相談が出来たものの、
冒頭で述べたようなノープランでの相談で結局時間切れでは
全く訪問の意味がないというものです。

 こうならない為にも、
自宅で事前に条件の絞り込み、要望の優先順位程度は
固めておくことがスムースな就職活動の第一歩となるでしょう。

【収入かやりがいか?】

 前項と重なりますが、
再就職する最大の理由を突き詰めることは特に大切です。
 
 先に書いたように生活維持のための収入が必要?
 年金や貯蓄はあるので小遣い程度の収入でも構わない?
 副業の位置付けで働きたいので本業に支障のない勤務形態が優先?
 収入は関係なく、社会との接点が欲しい、貢献したいのが理由?

 この選択によって、フルタイムかパートタイムか、
正社員、契約社員、パート勤務といった条件も自ずから決まってきます。

 
 よく相談者の中に

「おカネも仕事内容にも拘りはないです。」
「社会との繋がりが欲しいんです。」
「人と話すことが目的です。」

 というような、一見すぐにでも仕事が見つかりそうな
志望動機の方がいらっしゃいます。

 この様な場合でも、仕事が見つからないそうです。

 この場合でも、
せめて「この業種の中で」「この職種の範囲内で」
といった条件の絞り込みをしなければ話は進まないようです。

 来るもの拒まずの姿勢では、結局誰も来ない、
というのが今の時代の実状です。

【活動は迅速に】

 最後は、全ての年代で共通することですが、
毎回窓口の担当者から聞かされる言葉として、
再就職の行動は退職直後から始めるべきと言われます。

 特にシニア世代の場合、
今更入社後に教育指導に時間をかけるような企業は
ほぼ無くなったと言っていいと思います。

 全職種で言われる採用決定の最大の理由は、
「事務でも、営業でも、即戦力であること」でした。

 退職後1年、2年も無職の期間があった場合、
企業側は「即戦力」とは見做しません。

「仕事復帰までのリハビリ期間、勘を取り戻す猶予期間」
を考慮してくれたのは過去のよき時代の話です。

 ですが、今でも今までの働きへのご褒美として
長期の旅行に出たり、趣味の世界に没頭したりと
半年から1年を過ごす方は少なくありません。

 このギャップは非常に大きな意味を持ちます。

 以前、某企業の採用担当から聞き取りした話の中でも、
同じような会社に勤めており、同じような職歴、
同レベルのスキルの持ち主であっても
退職直後(または退職予定等)と
退職後1年経過の2人の採用候補が出た場合は、
確実に前者を選考するとのことでした。

【厳しさを増す現状を認識】

 先日、久しぶりに都心のハローワークを複数訪問し、
求人状況を調べてきました。

 60才以上、特に65歳以上の求人となりますと
厳しい現状が見えてきます。

 年齢不問の募集の場合、
多くは結局40代を核としており、条件次第で50代も可、
というのが実際の採用の結果だそうです。

 60才以上と明記してある募集は、
清掃のパート募集や調理補助、医療施設の患者さんの送迎業務といった
限られた範囲の職種でした。

 正社員募集に関しては、
今回調べた範囲では皆無で、契約社員とパート募集が大半でした。

 僅かにある「事務職での募集」は募集殺到で、
ここでも前職の経験や即戦力の可否が特に求められ、
結果的には40代50代に決まることが多いようです。

【ハローワークインターネットサービス】

 ハローワークでの情報収集にしても
コロナ以降は窓口の閉鎖や稼働時間の短縮といった対応が始まり、
今まで以上に時間を意識しての活動が求められてきました。

 この反面、
企業の人員整理や、閉店や休業によって来訪者数は確実に増加です。

 まずは、「ハローワークインターネットサービス」を利用しましょう。
このサイトでは、仕事を探す場合の検索の仕方の説明に始まり、
テレワークや在宅勤務志望といった特定の求人情報の検索にも対応してます。

 他にも求人情報の見方の説明や、ハローワークの利用方法として、
求人申し込みの手続きの案内や、ハローワークの所在地案内もあります。

 さらに、ここで指摘した履歴書や職務経歴書の書き方についても
記載に関する注意点の指摘等、実用的な案内も記載されています。
 
 また別稿にある「求職者マイページ」を開設すると、
自宅のパソコン等から、

・求人情報検索(検索条件の保存など)
・求人への直接応募(オンライン自主応募)
・求職活動状況の確認(応募中の求人や選考が終わった求人の確認)
・登録した求職者情報の確認・変更
・メッセージ管理
 などを利用できます。

 加えてハローワークを利用されている求職者(利用登録者)の方は、

・ハローワークからお送りするおすすめ求人等の受信
・ハローワークからオンラインでご紹介する求人への応募
 (オンラインハローワーク紹介)

 といったサービスを受けられます。

 まだまだ豊富なサービスや各種の案内が検索可能ですが、
詳細については以下にリンクを貼りましたので、各自で参照して下さい。

ハローワーク インターネットサービス

 早期に、豊富な情報を収集し、自分の置かれた環境を精査して
より具体的な目標を確立する事。

 
 これからハローワークを利用するシニア世代は
特に意識して行動して欲しいものです。

 

この記事を書いたプロ

寺田淳

シニア世代が直面する仕事と家庭の問題解決をサポートする行政書士

寺田淳(寺田淳行政書士事務所)

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