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寺田淳

シニア世代が直面する仕事と家庭の問題解決をサポートする行政書士

寺田淳(てらだあつし) / 行政書士

寺田淳行政書士事務所

コラム

年金、75才まで繰り下げが可能に

2022年1月28日

コラムカテゴリ:お金・保険


【今日のポイント】

 今回は、まさに自分自身が対象となるテーマです。
65才から受給対象になる世代にとって、繰り下げ受給の選択は
個々の事情によって大きく変わります。
 
 どの選択がいいというのではなく、
今の私がどんな選択が出来るかをごく簡単に調べてみました。

【繰り下げ期間は75才上限に】

 ご存じの方も多いと思いますが、
この2022年4月1日から、年金の繰り下げ受給の選択期間が
従来の70才までから、75才までに拡がります。
 但し、75才までの選択が可能な人は
「1952年4月2日以降」に生まれた人が対象になります。

 現在すでに繰り下げ受給を選択し、受給待機中の場合でも
今年の4月1日以前に70才になった方は、対象から外れることになります。

 また、注意すべき点として、繰り下げが出来るのは老齢年金であって
「特別支給の老齢厚生年金」は対象外となります。

 元がサラリーマンだった場合、原則として男性は
1961年4月1日までの誕生日、女性はその5年後の誕生日の場合は
60歳前半の数年間にわたりこの「特別支給の老齢厚生年金」が支給されます。

 詳細は省きますが、私はちょうどこの制度の対象となるので、
昨年と今年の約2年間、即ち今年の65才の誕生月前までは
2か月に1回、偶数月に支給が開始されています。

 これが先の75才までの繰り下げとは連動しないということです。
さらにこの年金には「5年の時効」があります。

 勝手な思い込みで、こちらも一緒に繰り下げ受給で金額アップ、
などと間違った決断をしてしまうと、場合によっては時効に引っかかり
元も子もなくなる恐れがありますので要注意です。

 繰り下げ受給によって、
どれだけ「得をするのか?」を簡単に説明しますと
65才からの受給、基本のスタートの場合の受給額を100とした場合、
受給時期を1か月遅らせるごとに「0,7%」プラス加算となります。

 現在の繰り下げ上限となる70才受給を選択した場合は、
65才時に比べて「42%増額」となり、75才で受給開始とすれば
実に84%増となる計算です。

 もらえるものはもらえる時にもらっておくか?
最も多くもらうために、じっと我慢するか?

 選択は一度きりの一発勝負ですから、大いに悩む選択ですね。

【繰り下げの手続き】

 最初に関連するサイトを紹介しておきます。
特別支給の老齢厚生年金を受給している場合

 以下は、私と同じ立ち位置にある世代を対象にして紹介しています。
詳細は上記のリンク先を参照して下さい。

 現在特別支給の老齢厚生年金を受給している方には、
65才の誕生月(の初め)までに「年金請求書」が郵送されてきます。
(1日生まれの場合は誕生月の1か月前の初めまでに郵送となります。)

 この時に「繰り下げ希望」を選択していた場合、
その旨を記載して返送することになりますが、
年金は定額の基礎年金と上積みとなる厚生年金があり、
繰り下げは当人の自由選択とされます。
記載欄には両方とも繰り下げる、片方だけは繰り下げ
といった選択が可能となっています。

 ここも思案のしどころ、となります。

 請求書を提出する場合は誕生月の末日までに返送します。
(これも1日生まれの場合は前月の末日となります。)
返送が遅れた場合、支払いに支障が出ることがありますので
受給開始を希望する場合は早々の返送を心がけて下さい。

 仮に返送をしなければ、
自動的に両方とも繰り下げと判断され、受給待機となります。

 また繰り下げ希望の場合でも、
何才から受給という具体的な開始時期を記載する必要はありません。
記載する欄もありません。

 繰り下げを決めた時点では70才から受給、と考えていても
何らかの事情で受給開始を早める場合もあります。

 その場合は、その時点で年金事務所に「年金請求書」を提出します。
それで受給開始となります。

 原則は偶数月に2か月分がまとめて支給されます。
但し、申請から受給開始=振込までには一定の時間がかかります。
概ね請求してから2~3か月前後が目安となるようですので、
ある程度の時間的余裕は考慮したほうがいいでしょう。

 また繰り下げ後の受給方法にも選択肢が用意されていますが、
ここでは省略しますので、ご了承頂きたくお願いします。
機会があれば別途紹介したいと思います。

 ここでは繰り下げ受給事例のうちのひとつだけを紹介しました。
年金機構のHPにはその他の受給ケース(繰り上げ受給含め)についても
詳細が記載されているので、自分の置かれた立場に応じて参考にして下さい。

この記事を書いたプロ

寺田淳

シニア世代が直面する仕事と家庭の問題解決をサポートする行政書士

寺田淳(寺田淳行政書士事務所)

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