6 言葉を磨く
コラム20に書いたウィンストン・チャーチルの言葉は、彼の辛辣な言葉の使用癖から出た言葉だと思いますが、彼の辛辣な言葉の使い方については、妻であるクレメンタインは日頃から心を痛め、善言を呈することしばしばあったようです。
彼女は、1940 年6 月27 日付の手紙で、夫であるウィンストン・チャーチルに、手紙で次
のような言葉(善言)を伝えています。
「親愛なるあなたへ……あなたの側近の一人が私のところへ来て、あなたが同僚や部下
からひどく嫌われているようであると伝えてくれました。……原因は、あなたの辛辣、
横柄な態度です。……これらはすべて、私自身も、気が付いていることです。あなたの
今のような態度では、部下その他の人から、良い案も悪い案も出てこないと思います。
……あなたの巨大な権力に、上品な振る舞い、思いやりを添え、あなた自身は超然と構
えていてほしいのです。短気や無礼からは最高の結果は生まれないと思うのです。かえ
って部下や同僚から嫌悪感を持たれ、彼らが奴隷精神につながるのは必至です。……ど
うかあなたを愛し、尽くし、見守るこの私をお許しください。クレミー」
善言は、言われたときにはその意味を理解できないことが多々あります。それが分かるの
はずっと後になって、という場合も多くあります。
善言の言わんとするところが、すぐには分からない。分からないから、耳を貸さないのか。
分からないが、善意から言ってくれているのだから、自分自身の足あし元もとを見つめ直そうとして
みるのか。前者より、後者の人になりたいと思います。
善言は、大切にしたいものです。



