19 習い、性
19世紀を代表するフランスの文豪アレクサンドル・デュマの代表作『モンテ・クリスト伯』では、主人公エドモン・ダンテスが無実の罪で絶海の岩窟牢に投じられます。
そこへ脱獄を試みたファリア神父が誤って同じ独房に来訪し、二人は出会い、交流を深めます。
ファリア神父は「罪は、そこから利益を得る者によって犯される」という法の箴言を拠り所に、ダンテスを陥れた三人――フェルナン、ダングラール、ヴィルフォール――の正体を論理的に突き止めます。
やがて脱獄したダンテスは名をモンテ・クリスト伯爵と変え、この三人に復讐を遂げてゆくのです。
ちなみに、この小説「モンテクリスト伯」の「モンテ」は山、「クリスト」はイエス・キリストの意味だとされています。
したがって、モンテ・クリストと名を変えたエドモン・ダンテスがした復讐も、決して酷いものではありませんでした。
神の嘉したもうた復讐劇と言えるかもしれません。
箴言は、経験や知見を簡潔に表したものであり、思考の視点として重みを持ち得ます。
(これは新著「大切にしたいもの 言葉とロータリーと生き方」に書いたもの(平均1000文字)を300文字前後に簡略化したものです。詳しくは、新著をご覧ください。)



