19 習い、性
河出書房新社の『チャーチルは語る』(マーティン・ギルバート著、浅岡政子訳 2018)を読んだ感想です。
この邦訳本のすばらしさは、なんといっても翻訳者・浅岡政子氏の文章です。
彼女の流れるような旋律をもった文章には、読む者を惹き付け、一気に最後まで読ませるだけの言葉の力があります。
私は過去にウィンストン・チャーチルが著した『第二次世界大戦』の邦訳版全4冊を読んだことがありますが、そこに書かれた邦訳文は難解であったため、内容を理解していくだけでも多大な時間を要しましたので、とりわけ浅岡氏の分かりやすい日本語と美しい文章による翻訳には驚いたのです。
なお、浅岡氏は同書「訳者あとがき」で、「チャーチルの語った言葉を日本語にする作業は、とても大変であると同時にこのうえなく光栄な仕事でもありました」と書かれています。
翻訳者によって、同じチャーチルの言葉が、読む者の感じ方に大きな違いをもたらすことを実体験した者として、私にはこの浅岡氏の言葉はたいへんよく理解できました。
(これは新著「大切にしたいもの 言葉とロータリーと生き方」に書いたもの(平均1000文字)を300文字前後に簡略化したものです。詳しくは、新著をご覧ください。)



