22 閑話 監査役会監査に関して、面白き数字だが、バランスはとれている
36.「社外取締役」と「独立社外取締役」の違い
(1)根拠の違いと意味の違い
「社外取締役」というのは、会社法上の法令用語(概念)である。会社法によれば、上場会社は全て、社外取締役を置く義務がある。人数は問わない。
したがって、社外取締役は1人であってもよい。
これに対し「独立社外取締役」というのは、CGコードに書かれた用語であり、法令用語ではない。
したがって、厳密な定義付けはなされていない。
CGコードの原則4-9には、下記のように記載(ただし、抜粋)されているので、独立社外取締役の基準はそれぞれの上場会社が決めることになり、上場会社が置いた社外取締役を、当該会社の基準による独立社外取締役だといえば、独立社外取締役ということになる。
社外取締役の人数についても、法律上は1人でもいいが、CGコードは、原則4-8に書かれたように、3分の1とか過半数とかを要求している。
参照:CGコード
原則4-9.独立社外取締役の独立性判断基準及び資質
取締役会は、金融商品取引所が定める独立性基準を踏まえ、・・・独立性判断基準を策定・開示すべきである。・・・」
原則4-8.独立社外取締役の有効な活用
独立社外取締役は・・・プライム市場上場会社は・・・少なくとも3分の1(その他の市場の上場会社においては2名)以上選任すべきである。また、・・・過半数・・・必要と考えるプライム市場上場会社は・・・十分な人数の独立社外取締役を選任すべきである。」
(2)法律とCGコードの違い
法律には従う義務がある。しかし、CGコードは法律ではない。したがって、それに従う法律上の義務はない。
しかし、CGコードを遵守(comply)しない会社は、遵守しない理由を説明(explain)することが求められ(これを「comply or explain」の原則という)、complyもしなければexplainもしないという会社が出ると、投資家からダイベストメント(divestment・投資忌避)に遭う恐れが生ずるので、事実上、上場会社はCGコードを遵守せざるを得なくなる。これは以前に解説したところである。