第2章の2 クライシス・マネージメント
企業法務とは、暗黙知を増やし、形式知を増やす、ナレッジマネジメントを確立・増進すること、と私は考える。
では、
1.暗黙知とは、
大辞泉によれば、暗黙知とは、①主観的で言語化することができない知識。言語化して説明可能な知識(形式知)に対し、言語化できないまま、または、たとえ言語化しても肝要なことを伝えようがない知識のこと(ハンガリーの哲学者マイケル・ポランニーの提唱した概念)。
例えて言えば、カーレーサーの熟達した運転技術を考えると分かりやすいであろう。無論、熟達した弁護士の暗黙知も、同じである。
②ナレッジマネジメントにおいて、社員や技術者が暗黙のうちに有する、長年の経験や勘に基づく知識(経営学者野中郁次郎氏の定義)。
では、
2.ナレッジマネジメントとは、
大辞泉によれば、ナレッジマネジメントとは、個人・グループが所有する知識や、企業内の各部門に蓄積された知識情報を、企業などの組織全体で共有して活用する仕組み。または、そのような経営手法。知識管理。知識経営。
3.企業法務とは、暗黙知を、ときには暗黙知のまま伝承し、ときには可能な限り形式知化して、ナレッジマネジメントを確立・増進する業務のことと考える。