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2021年2月11日付の日本経済新聞に「カジノ化、株の国脅かす」という見出しの記事が載っていました。
この記事は、某コメンテーター氏によって書かれたもので、同氏は、アメリカのウォール街を襲った2001年のエンロンの倒産事件と、2002年のワールドコムの倒産事件を俎(そ)上(じょう)に載せ、①両社の倒産は粉(ふん)飾(しょく)決(けっ)算(さん)が原因であったこと、②これらの会社の粉飾決算には監査法人も関係していたこと、③証券会社のアナリストまでが、発行元の企業に媚(こ)びてクズ株の買いを推(すい)奨(しょう)したこと、④要は、多くの関係者によって上場会社の実態が歪(ゆが)められていたこと、⑤そのため、投資家は株価が信じられなくなり、市場を避け始めたこと(筆者注:株式の暴落が起こったこと)、⑥この事(じ)態(たい)を前に、冷静さで知られるグリーンスパン米連邦準備制度理事会(FRB)議長(当時)でさえ「資本主義のシステムが腐っている!」と、政府内の会議でテーブルをたたいて怒ったこと、⑦以後、アメリカ政府は企業統治やアナリストの改革を進めていること、が紹介されたうえで、⑧コメンテーター氏は、この事象はファンダメンタルズの裏付けがない株式市場がどれほど危ういかを物語っている旨が書かれているのです。
⑧の意見は別論として、現在は世界中で、職業倫理を投げ捨てた職業が横行しているように思われます。エンロンやワールドコム事件の後でも、2008年にはリーマンショックが起き、株価が暴落し、世界的な不況に陥った事件が起きました。これも粉飾決算と、顧客に対する詐(さ)欺(ぎ)的手法が発覚しての事件でした。そのほかにも、日本の大企業に限っても、品質検査データの捏(ねつ)造(ぞう)を長年にわたって続けるなど、マスコミを賑(にぎ)わす事件は後を絶つことがありません。
そのような世潮の中で、ロータリアンが、職業倫理の顕揚と公正なビジネスの遂行を標(ひょう)榜(ぼう)して、その中を生きていくことは実に素晴らしいものだと思います。職業倫理の顕揚と公正なビジネスは、大切な価値観として守っていきたいものと思います。