ロータリー17 多様性あるところ、必ず勝つ
文章の模倣は、重要です。
18世紀の歴史家エドワード・ギボンが著(ちょ)した「ローマ帝国衰亡史」に書かれた文章は、歴史上、多くの著名人が、模倣したとされています。ギボンの文章は、インドの初代首相ジャワハルラール・ネールの筆を借りると、「流れるような旋律(せんりつ)を持った文章」であり、哲学者バートランド・ラッセルに言わせると、まさに「芸術」です。また、ウイルストン・チャーチルは、前述のように、ノーベル文学賞を受賞するほどの文章力があった人物ですが、彼は、このギボンの名著を、全文暗唱(あんしょう)していたと言われるほど読み込んでいたのです。
模倣は、文化的・社会的に、重要な意義をもっています。仮に、先人の事蹟(じせき)を、なんら模倣もしたことはない、という生き方をしてきた人がいるとすれば、おそらく、その人は、模倣をして学び、知識や技量や智恵を重ねてきた人との間に、大きな差がついているのではないか、と思います。人まねである模倣。大いに結構。大いに実行し、かつ、奨励(しょうれい)すべきことと思います。