コラム21 勝者の愚行
日本人の場合、目に一丁字もないという人は少ないと思いますが、識字力を誇れる国民かどうかは別問題です。
それは、日本の子どもたちの読解力が、低下しているからです。
すなわち、経済協力開発機構(OECD)は、3年に1度、世界79カ国・地域の義務教育修了段階の15歳の子供たちを対象に、読解力と数学的・科学的応用力を測る国際学習到達度調査(PISA)をしていますが、2018年の調査の結果では、残念ながら、日本の子どもの読解力は、前回(15年調査)の8位から15位と大きく後退しているのです。
読書に時間をかけ、言葉を増やすことは大切です。
日本人には、今、言葉を増やして、識字力を向上させることが強く求められているのです。
言葉は、人の考えや感情を、他の人に伝える道具というだけなく、自らの考えを掘り下げていく道具でもあります。言葉を用いて、自分の考えを整理し、深めていけば、そこから新たな知恵も生まれますので、人を賢くしていくのも、言葉です。言葉は、数多く知っておくべきなのです。言葉は、多くの場合、読書を通して学びます。ですから、次代の日本を担う若者には、もっと読書に時間を割いてもらいたいと思いますが、その前に、私たち熟年層も、言葉を増やし、言葉の効用を、若い人たちに示す必要があると思います。ボキャ貧では、この世の戦いで勝者になることはできません。