2020/07/15 19:22 米山梅吉の一生
2021/06/11 独立社外取締役に問われる四つのテストと、五つ目のテスト
1.東芝総会のあり方と第三者委員会の調査
本日付の日刊新聞はいずれも、東芝がした昨年(2020年)7月の定時株主総会(東芝総会)のあり方についてなされた昨日付の第三者委員会の調査結果を報じている。
その内容は、東芝総会は、公正ではなかったと、いうものであった。
私は、①東芝総会では、一部の株主の議決行使が無効と扱われたことと、②その経緯について、株主の一部から第三者委員会を立ち上げて調査をすることを東芝に要求したが、東芝の監査委員会は自らが監査した結果問題はなかったと結論を出し、東芝はそれを基に第三者委員会による調査を拒否したことの二点を、あってはならないこと、と思っていたので、③その後、株主による権利として招集された2021年3月の東芝の臨時株主総会で、第三者委員会を立ち上げ東芝総会のあり方を巡る問題につき調査をすることが決議されたことを、健全な資本主義の姿だと思っていた者の一人である。
2.独立社外取締役への質問
私は、ここでは、東芝の監査委員会とその委員の過半数を占める独立社外取締役に、次の質問をしたい。
すなわち、
(ア)東芝の独立社外取締役の皆さんは、東芝総会のあり方について株主から提起された問題につき、内部の監査委員会が調査をすること自体、疑問を感じなかったのであろうか?
(イ)その調査結果につき、問題はなかったという結論を出したが、その結論を株主に納得させるほどの説明(文章の起草)をしたのであろうか?
(ウ)皆さんがされた今回の仕事は、
第一に、真実かどうか?
第二に、みんなに公平か?
第三に、好意と友情を深めるか? 。
第四に、みんなのためになるかどうか?
という四つのテスト(これはロータリーの普遍的価値観の一つである)に回答していただきたいのである。
3.女優さんを独立社外取締役に選任することの是非
ここで、話題を転じたい。
独立社外取締役に対する第五のテストをするためだ。
上場会社の中に、女優さんを独立社外取締役に選任する案を、今月開かれる株主総会に上程する予定の会社があることが報じられている。
その会社は、その女優さんを同社の広告塔として使うことを、独立社外取締役にする理由にしているとのこと。
しかし、それでは、この女優さんが独立社外取締役になった後、その職務を行うことからくる苦痛(取締役会だけで年12回、株主総会だけで年1回、その他取締役会内部の各種委員会の委員になったときの委員会の仕事等々、毎回最低でも2時間はかかるであろう拘束とその職務の中では本来の役割である広告塔の仕事はないことの違和感)だけで根を上げてことになるかもしれない。
現在は、多様性を受け入れなければならない時代であり、女性を取締役にすることはたいへん喜ばしい限りであるが、人材かどうかの視点と広告塔にするという視点は必ずしも一致するものとは思えない。
ただ、この女優さんについては、独立社外取締役になった後、他の取締役の意見に盲従しないだけの知見とスキルと見識を持った人であることを信じたい。
すなわち、独立社外取締役には、五つ目のテストが待っているのだ。
それは、「他の取締役の意見に盲従しないだけの知見とスキルと見識を持った人でありますか?」というテストである。