2020/10/15 米山梅吉ものがたり② 梅吉の幼少時代
2021/01/06 2021年を占う4.ESGが一段と深化する
ESGのE(環境)は、第4の革命 カーボンゼロに代表される環境問題だ。
ESGのS(社会)は、機関投資家以外の株主、顧客、従業員、地域の人たちなどのステークホルダーに優しい会社であることをいう。
2021年は、上場会社に関していえば、配当の増額などが強く求められることになるだろう。
ESGのG(ガバナンス)とは、企業統治のことだ。
2021年には、金融庁と東京証券取引社が協同でつくったコーポレートガバナンス・コード(2015年策定、2018年一回目の改定)の二回目の改定が予定されている。
さらには、東京証券取引所は、今までの市場を廃して新たな三つの市場をつくるようだが、それらの機会に合わせて、その最上位の「プライム市場」に上場する会社は、今まで以上にガラス張りの経営を余儀なくされると想像する。
具体的には機関設計を、指名委員会等設置会社に変えることが求められると思われる。
この指名委員会等設置会社というのは、アメリカの上場会社が採用している機関設計だ。
すなわち、独立社外取締役を過半数置いた指名委員会が経営陣を選び、同じく独立社外取締役を過半数置いた報酬委員会がその報酬を決め、また、同じく独立社外取締役を過半数置いた監査委員会が、経営陣のする経営を、違法性についてのみならず妥当性についてまで、口出しをする(いな、監査をする)ことになるだろう。
データの捏造や粉飾決算は以前に比べ格段に少なくなると思われるが、仏作って魂入れずであればどうにもならない。
だから、社外取締役や監査法人を通じた上場会社の監視体制は厳しくなるであろう。その他にも、取締役選任基準に、女性を増やすなどの多様性がますます強く要求されることになるであろう。
なお、プライム市場に上場する会社の会計処理は、いずれは国際基準で統一することをも求められるようになるであろう。
以上が私の占う2021年におけるESGの深化だが、これは、ロータリーの目指す四つのテストの具現化でもあるのだから、ロータリアンとしても、積極的にこれを監視し、かつ、支援していくべきだと思われる。
【参考記事】
2020/12/25 付けの日本経済新聞記事「東証、企業統治改善迫る プライム条件厳しく 政策株多いと不利に 」によれば、2021年に,東証市場改革でできるプライム市場に上場する会社は、政策保有株式の圧縮も促されるとのことだ。政策保有株式については後日、日記に書くこととするが、ここでは、上場会社は今までの慣行を前面的に見直す必要があることを書くにとどめる。なお、同日現在の東証1部上場会社の中で、プライム基準を満たさない企業は600社程度あるということなので、かなりの数の上場会社が、厳しく改革を迫られることが予想できる。
【後日譚】
2021/01/27
最近の新聞記事に、ある上場会社の会長さん、後任の社長を、指名委員会が決めた人物ではなく、会長さん意中の人物に決めたことを得々と開陳していた。
しかし、この会社は、指名委員会等設置会社ではあるまい。
指名委員会等設置会社の場合、会長が勝手に意中の人物を社長にはできないからだ。
おそらくこの会社は、指名委員会等設置会社ではない(その場合は、監査等委員会設置会社か監査役会設置会社のいずれかになる)が、「指名委員会」という名の任意の諮問機関を置いていたのであろう。そのような上場会社は上場会社の過半数あるからだ。
指名委員会に、真の指名委員会(指名委員会等設置会社の場合のみ)と、諮問機関にすぎない名だけの指名委員会(監査等委員会設置会社または監査役会設置会社の場合)があるというのは、紛らわしいことではある。