章立て
5 遺産の分割前に預貯金の払戻請求ができる制度の創設
【条文】
(遺産の分割前における預貯金債権の行使)
第909条の2 各共同相続人は、遺産に属する預貯金債権のうち相続開始の時の債権額の1/3に第900条及び第901条の規定により算定した当該共同相続人の相続分を乗じた額(標準的な当面の必要生計費、平均的な葬式の費用の額その他の事情を勘案して預貯金債権の債務者ごとに法務省令で定める額を限度とする。)については、単独でその権利を行使することができる。この場合において、当該権利の行使をした預貯金債権については、当該共同相続人が遺産の一部の分割によりこれを取得したものとみなす。
【解説】
平成28年の判例変更により、預貯金債権は、遺産分割の対象になりました。その結果、一部の相続人に被相続人の預金の一部を必要とする事情があっても、遺産分割成立前は、預貯金の払戻請求ができないことになりました。そうなると、相続人の中には困る者もでるため、改正法は、預貯金債権の3分の1のうち相続人の法定相続分に応じた額については、個々の相続人に、払戻しの請求権を認めました。