第2章 1遺産分割 1遺産分割とは(3)遺産分割内容を決める二つのステップ
【補説】
代襲相続人とは?
代襲相続人とは、“本来の相続人の地位を襲って相続人の地位に就く者"という意味の言葉です。
この場合の「襲う」というのは、歌舞伎役者の襲名披露などでも使われる「襲う」つまりは、「後を継ぐ」という意味の言葉です。
相続人の第一順位は、当然血族第一等親にあたる子ですが、子が、相続開始時点で先に亡くなっている場合は、その子の子、つまりは被相続人からみて孫が代襲相続人になります。
代襲相続人について、誤解ないし知識の不足があると思わぬ不利益を受けますので、次に一言しておきます。
1 再代襲者のこと
相続が開始して、その時点で子が亡くなっている場合、孫が代襲相続人になりますが、その孫も亡くなっている場合は、ひ孫が再代襲します。そのひ孫以下も亡くなっている場合は、さらにその下の直系卑属がどこまでも代襲相続人になれます。
しかし、兄弟姉妹が相続人になる場合は、その子(被相続人の甥又は姪)に限って、代襲相続人になります。再代襲という制度はありません。ただし、相続の開始が、昭和55年12月31日までに開始している事案では、再代襲があります。
2 代襲原因
代襲原因は本来の相続人の死亡だけではありません。相続人廃除も代襲相続の原因になります。
子や兄弟姉妹を推定相続人から廃除しても、その廃除された推定相続人に子(孫又は甥・姪)がいる場合、その子が代襲相続人になりますので、被相続人の死後、遺言執行者が苦労して相続人の廃除に成功しても、遺産は廃除された相続分の子が相続するということまで考えておかなければならないということです。
3 遺言の効果の人的限界
遺言書で、特定の相続人に遺産分割方法の指定遺言又は相続分の指定遺言をしても、相続開始前に、当該特定の相続人が亡くなっておれば、その遺言は無効になることを知っておく必要があります。
ですから、そのような遺言書を書く場合、当該相続人が相続開始の時に亡くなっていたとすると、当該遺産分割方法の指定をした遺産や相続分の指定については、当該相続人の子に与えるのか与えないのかまで考えて遺言書を書く必要があるということです。