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スーパーマーケットでのテナントは賃借人か?➁ 認めた裁判例二

菊池捷男

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テーマ:不動産

東京地方裁判所平成7年8月28日判決は,
甲社と乙との間に取り交わされた「業務委託契約に関する覚書」には,
甲社が乙に対し美容に関するすべての運営業務を委託する旨が記載されてはいるが,
① 乙が行う美容院店舗の名称については、乙において決定し、甲社がまったく関与しないものとされ,
➁ 乙が、毎月定額の運営費を甲社に支払うものとされ,
③ 本件建物に関する毎月の光熱費については甲社が乙に対し請求し、乙がその責任において支払うものとされ,
④ 本契約に際して、乙が甲社に対し、保証金として50万円、権利金として50万円をそれぞれ支払うものとされていることなどからすると、同契約の実質の大半は本件建物の賃貸借契約であると認められると判示しました。

 これに対し,甲社側は,種々反論しましたが,。
⑤ 乙は、他の場所で,自ら美容院を経営しており、乙は甲社に対し他に美容院を経営していることを名刺を差し出して告げていること。したがって,乙が自己の店舗を本件建物に構えるといった事情を前提に合意されたものと解されること。
⑥ 甲社が本件建物で行っていた折の顧客のカルテを乙に引き継がなかったことから,契約後の本件建物での美容業務が乙自身の独自の営業であったことが推認されること。
⑦ 本件建物内に設置されていた什器備品についても、結局、大半は乙において取りそろえて設置したものであったことが認められるから、店舗の施設面からしても、乙による美容業務をもって甲社からの委託業務とみることは困難であること。 
⑧ 従前の売上額がどの程度あったかはともかくとして、売上額自体はたえず変動するものであり、かつ右契約が業務委託であるとするならば、毎月の売上からその月に対応する経費を控除した純利益を算出し、甲社から乙に対し委託料が支払われるのが通常であって、従前の純利益額がどの程度であったかということと固定された運営費を乙が甲社に対し支払うことが直結するものではないというべきである。
と判示し,賃貸借契約を否定することはできない旨判示しました。

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菊池捷男(弁護士)

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