遺産分割におけるトラブル 番外編① 法を無視した遺産分割の要求
2 心配性の相続人からの注文
相続人A
「調停委員さんの勧められる遺産分割案には全面的に同意いたします。ただ,これで調停を成立させた場合,その後のことが心配です。調停成立後は,相続人Bから,私の家庭内のことに嘴を入れないという約束を一筆入れさせていただきたいのですが。それを入れてもらえば,調停を成立させます。」
調停委員
「先ほどのあなたのご希望を相続人Bに伝えましたら,相続人Bから,あなたやあなたのご家族に対し,調停成立後は相続人Bの家の前を通らないという一筆を入れてほしいという要求がでていますが,どうしますか?」
相続人A
「そんなこと,できるわけありません。そんな無茶を言うBだから,今後は私の家庭内のことに嘴を入れてほしくないのです。それを調停調書に書いていただかないと遺産分割には応じられません。」
調停委員
「また,相続人Bは,あなたに,あなたのお子さんの自慢話はしてくれるなとも言っていましたが,そのことはお約束できますか?」
相続人A
「私は子供のことを自慢したことはありません。相続人Bは自分の子の成績が悪いのでひがんでいるのです。」
調停委員
「あなたが最初に言われたことは,感情論でしかありませんよ。感情論を言えば,相手方からも感情論が返ってくるだけです。お互いに感情論を言わないようにされたらどうでしょうか?遺産分割とは関係のない感情論にこだわり,遺産分割の調停を不調にするわけにはいかないでしょう。もし今のままなら,調停は不調になりますよ。調停が不調になれば,後は,家事審判官が遺産分割の審判をしますが,その場合,遺産の評価もしなければなりません。あなたの場合,100万円以上かけて不動産の鑑定をする必要もありますよ。」
相続人A
「・・・・・」