相続税のお話し 7 代償分割に潜む落とし穴
1,父の財産が2億円で,相続人が子供甲1人の場合
父が亡くなると,甲が2億円の財産を全部取得しますので,
①課税遺産額(被相続人が残した相続税課税対象財産の合計額)は・・・2億円になり,
➁基礎控除額を控除した後は,・・・2億円-基礎控除額6000万円(5000万円+相続人の数1人×1000万円)=1億4000万円になり,
②これを相続人が法定相続分で分けるのですが,・・・相続人は甲1人だけなので,甲の取得額は1億4000万円になり,
③これを課税標準額として,下記の相続税率を適用すると,1億4000万円×0.4-1700万円=3900万円になりますが,これが相続税の総額になります。
2,甲の子乙を父の養子にした場合
①課税遺産額・・・2億円
➁基礎控除額控除後は,・・・2億円-基礎控除額6000万円(5000万円+相続人の数2人×1000万円)=1億3000万円になり,
②これを相続人である甲と乙が法定相続分で分けると,甲と乙の取得額はそれぞれ1億3000万円÷2=6500万円になります。
③これを課税標準額として,下記の相続税率を適用すると,甲も乙も6500万円×0.3-200万円=1750万円の相続税になり,
④甲と乙の相続税を合わせた相続税の総額は,1750万円×2=3500万円になります。
3,結果
父が甲の子乙を養子にしないときの相続税の総額は3900万円ですが,乙を養子にすると相続税の総額は3500万円になり,相続税は400万円安くなります。
これからも分かるように,相続人が増えるということは,①基礎控除額が相続人分(1人1000万円)増える,➁基礎控除後の金額が全相続人に法定相続分で分割されされる結果,相続人ごとに適用される相続税の税率を引き下げる効果がある,ということになります。
4,養子の数に制限あり
相続税の計算をするときは,養子の数に制限があります。実子がいるときの養子は1名のみ,実子がいないときは2名までしか認められません。相続税を安くする目的で養子の数を増やすことを阻止するためです。
相続税早見表(平成26年4月1日現在)
課税標準 税率 控除額
1,000万円以下10% -
3,000万円以下15% 50万円
5,000万円以下20% 200万円
1億円以下 30% 700万円
3億円以下 40%1,700万円
3億円超 50%4,700万円