不動産 公図の歴史
1,過去にはできた中間省略登記
不動産の所有権が,A→B→Cへと移転したとき,平成17年3月7日前の取引の場合,中間にいるBを外して,A→Cへ所有権移転登記をすることができました。
しかしながら,その日以後の取引では,それができなくなり,A→Bへ移転登記をし,B→Cへ移転登記をすることになったのです。これは,不動産取引の過程を,正確に登記上に反映させようとする改正不動産登記法の趣旨からです。
2,第三者のための契約
ところが,AとBの契約で,Bが第三者であるCのために不動産を買うという契約を結ぶと,不動産は,A→Cに移転し,所有権移転登記手続も,A→Cへ可能になります。
この方法をとれば,事実上の中間省略登記が可能になるのです。
3,AとBとの間の契約書(第1売買契約書)の書き方
第1条 売主(A)及び買主(B)は、本契約が第三者のためにする特約を付した売買契約であることを,相互に,確認する。
2.買主(B)は、売主(A)に対し,本物件の所有権の移転先となる者(買主本人を含む)を指定する。
3..本物件の所有権は、買主(B)の指定した者が本物件の所有権移転を受ける旨の意思表示(受益の意思表示)をすることを条件に,移転するものとする。
4.売主(A)は、前項の受益の意思表示を受ける権限を,買主(B)に委任する。
5.買主(B)は,前項の意思表示を受けたときは,すみやかに売主(A)に通知をする。
6.本物件の所有権は、3項の条件成就までは売主(A)に留保する。
4,BとCとの間の契約書(第2売買契約書)の書き方
第1条 売主(B)は、現所有権登記名義人(以下、「現所有者」という)所有にかかる本物件を買主に売り渡し、買主(C)はこれを買い受ける。
2.本契約は,売主(B)と現所有者との間の平成 年 月 日付売買契約(第三者のためにする特約付)の履行として締結するものであることを,相互に確認する。
3. 買主(C)は,売主(B)と現所有者(A)との間の前項記載の売買契約に定めた受益の意思表示をしたことを,相互に確認する。
5,第三者のための売買契約は,中間省略登記の脱法行為ではない
第三者のための売買契約は,法務局も認めています。
法務局の認める登記原因証明情報は,次の内容になります。
1.登記の目的 所有権移転
2.登記の原因 平成○○年○○月○○日 売買
3.当事者 権利者
住所
(丙) 氏名
義務者
住所
(甲) 氏名
5.(1)の売買契約の買主
住所
(乙) 氏名
4.不動産の表示 所 在 ・・・・・
地 番 ・・・
地 目 ・・・
地 積 ・・・・・平方メートル
5.登記の原因となる事実または法律行為
(1)甲は、乙との間で、平成○○年○○月○○日 その所有する上記不動産(以下「本件不動産」という。)を売り渡す旨の契約を締結した。
(2)(1)の売買契約には、「乙は、売買代金全額の支払いまでに本件不動産の所有権の移転先となる者を指名するものとし、甲は、本件不動産の所有権を乙の指定する者に対し乙の指定および売買代金全額の支払いを条件として直接移転することとする」旨の所有権の移転先および移転時期に関する特約が付されている。
(3)所有権の移転先の指定
平成○○年○○月○○日 乙は、本件不動産の所有権の移転先として丙を指定した。
(4)受益の意思表示
平成○○年○○月○○日 丙は甲に対し、本件不動産の所有権の移転を受ける旨の意思表示をした。
(5)平成○○年○○月○○日 乙は、甲に対し、(1)の売買代金全額を支払い、甲はこれを受領した。
(6)よって、本件不動産の所有権は、平成○○年○○月○○日 甲から丙に移転した。
平成○○年○○月○○日
○○法務局 御中
上記登記原因のとおり相違ありません。
権利者 住所
(丙) 氏名 印
義務者 住所
(甲) 氏名 印
5.(1)の売買契約の買主 住所
(乙) 氏名
6,第三者のための売買契約の方が,かつての中間省略登記よりも有利な点
不動産取得税が1回ですむことです。