不動産 中間省略登記ができない理由
可能です。方法としては,
①第三者のためにする売買契約の方法と
②買主の地位の譲渡の2つの方法があります。
なお,②の方法は,第三者(買主の地位の譲受人)が、最初の売買契約の内容を知ることになるので、買主の転売利益額を知られたくない場合は、①の方法がよいでしょう。
①の第三者のためにする契約について説明しますと、まず,売主甲と買主乙間で不動産の売買契約(第1売買)を締結します。注意しなければならない点は、第1売買契約において,所有権が甲から乙に移転するのではなく,乙が指名する第三者へ移転する旨の特約を付けておくことです。
次に,乙は,第三者丙との間で当該不動産について,売買契約(第2売買契約)を締結します。なお,乙は,第1売買契約で当該不動産の所有者にはなっていませんので,第2売買契約では,他人(甲)が所有する物を売買するという契約内容になります。
なお、第三者のための契約の方法では,売買契約は、甲・乙間と乙・丙間の2回行うことになりますが,所有権は甲→Aへ1度移転するだけです。乙が所有者となることはありません。
そのため,所有権の移転と同様に,登記上も,甲→丙と表示すれば足るのです。
なお、第三者のための売買契約の方法は、内閣総理大臣の諮問機関であった規制改革・民間開放推進会議住宅・土地ワーキンググループ主査から法務省民事局第二課長に対してなされた照会に対し、平成18年12月22日に法務省民事局第二課長が発した回答で、可能とされています。
なお、第三者のためにする第1売買における売買契約書では、次の文言を書く必要があります。
1 (所有権の移転先及び移転時期)について、
買主は,本物件の所有権の移転先となる者(買主を含む)を指定するものとし,売主は本物件の所有権を買主の指定する者に対し,買主の指定及び売買代金全額の支払いを条件として、直接移転することとします。
2 (所有権留保)について、
売買代金を全額支払った後であっても,買主が買主自身を本物件の所有権の移転先に改めて書面をもって指定しない限り,買主に本物件の所有権は移転しないものとします。
3 (受益の意思表示の受領委託)について、
売主は,買主によって所有権の移転先に指定された者が、売主に対してする「本物件の所有権の移転を受ける旨の意思表示」の受領権限を買主に与えます。
4 (売主の移転債務の履行の引受)
買主が、買主以外の者に本物件の所有権を移転させるときは,売主は,買主がその者に対して負う所有権の移転債務を履行するために,その者に本物件の所有権を直接移転するものとします。
第2売買契約については、この契約が他人物売買となるので,当該契約書中には,
(第三者の弁済)として、
本物件は,未だに登記名義人が所有しているので,本物件の所有権を移転する売主の義務については,売主が買主から売買代金を受領したときに,その履行を引き受けた本物件の登記名義人である所有者から買主にその所有権を直接移転する方法で履行することとします。
との文言を記載すること、及び第2売買の、買主にその旨説明することが必要となります。