遺言執行者観に関する謬説がなくなるまで①
⑴ 法令の重要性
2007年の赤福の「農林物資の規格化及び品質表示の適正化に関する法律」(JAS法)違反事件は、“もったいない精神”から生じたものとされましたが、赤福には、法令違反の意識はなかった模様です。同社は、いったん製造した商品を冷凍し、それを解凍した日を製造日とするなどJAS法に違反した表示をしたのですがが、10年前にこの表示方法に問題はないかと地元の保健所に相談し「食品衛生法上の問題はない」との回答は得ていたのですから、違法性の認識はなかったものと思われます。しかし、この表示は、JAS法には違反していたのです。この事件の判明は、農水産業省からの指摘によります。この事件は、赤福に食品に関する法令に詳しい従業員がおれば避け得た事件です。なお、法令は、年々専門化し、詳細になっています。その会社に関係する法令については、完全に理解しておく必要があるのです。
注:
赤福のJAS法違反事件とは、売れ残り品等の赤福餅を再回収し再度冷解凍を行ったうえで、製造年月日を再解凍の日付にあわせ包装をしなおす「まき直し」と原材料名の表示について「砂糖、小豆、もち米」と表示すべきところを「小豆、もち米、砂糖」と表示した事件
⑵ インハウスローヤーの雇用
必要な法令を完全に知っておくためには、会社はインハウスローヤーを雇用しておく必要性が高くなっている、と思われます。