遺言執行者観に関する謬説がなくなるまで①
株主総会や各種団体の総会等の招集通知書には、そこで審議をする対象になる議題や議案の内容が書かれていますが、議題と議案の違いを意識する人は少ないように思われます。この2つは次のように意味が違うのです。
1 議題
「議題」とは、一般には、会議にかけて審議する題目(テーマ)をいいます。
株主総会で言えば、「株主総会の目的である事項」という言い方になります(会社法303条)。例えば、株式会社で取締役を2名選任する必要が生じたときは、「取締役2名選任の件」が議題になります。なお、細かい話で恐縮ですが、取締役選任を議題とする場合は、人数まで書かなければなりませんので、たんに「取締役選任の件」と書いた議題は、株主総会決議取消訴訟の対象になります。
2 議案
「議案」とは、会議において議決すべき具体的な提案をいいます。さきほどの「取締役2名選任の件」という議題(総会の目的事項)では、具体的に誰を選任するのかがテーマにはなっていません。そこで、その議題のもとで、具体的な提案として、「AとBの両名を取締役に選任する件」として提案されるのが議案なのです。株式会社法305条でいう、「株主総会の目的である事項につき当該株主が提出しようとする議案」のことなのです。
3議題と議案が一致する場合
例えば、「平成25年3月期決算書の承認の件」は、議題であると同時に議案でもあります。
株主総会の招集通知書には、多くの場合、審議すべき事項を「議案第1号 ・・・」というように「議案」というタイトルで書かれていると思われます。しかし、法律上は、議題と書くべきことの方が多いのです。