遺言執行者観に関する謬説がなくなるまで①
四 改正・修正
本コラムでは、いったん成立した(制定された)法令を改正する場合、あるいは改正案を修正する場合の、改正や修正という言葉の使い方について解説します。
1 改正
「改正」とは、改めることですが、「法令の改正」あるいは「法令の改正案」というように、改正の対象になるのは、制定された「法令」や「条例」等です。
なお、実に細かな話で恐縮ですが、改正の対象となる法令等を全体としてとらえて「改める」場合には「改正する」と表現しますが、法令等の個々の部分をとらえていう場合には「改める」と表現します。
例えば、前者の場合は、
「〇〇法の一部を改正する法律」、
後者の場合は、
「第〇条第〇項中『A』を『B』に改める」
というようになります。
2 修正
「修正」は、直して正しくすることですが、「改正案の修正案」というように、法令上は、国会における法律案、予算などの議案の修正(国会法57条や83条等)のように案の段階で直すことを言います。
無論、地方公共団体の議会で、条例案やその改正案の修正案を審議するような場合もあります。
要は、制定される前の「案」の直しが、修正です。
ですから、「改正案の修正案」という言い方はありますが、「修正案の改正案」という言い方はありません。
なお「法律」は、案の段階では「法律案」とされていますが、「予算」と「条約」は「案」の段階でも「予算」「条約」とされ、「予算案」「条約案」とは言いません。
このことは、国会法87条で、「法律案、予算、条約及び憲法改正原案を除いて、国会の議決を要する案件について、・・・」と表現されていることで分かるでしょう。