遺言執行者観に関する謬説がなくなるまで①
1 法規範に書かれる内容と順序
法律や条例など、また会社の就業規則などの法規範(権利や義務が発生する規範)は、通常、①題名、②制定文、③目次、④本則、⑤附則の順で書かれ、本則又は附則の内容について必要があれば⑥別表で書かれることもあります。
例えば、民法で言いますと、①題名は「民法」です。②の制定文は「朕帝国議会ノ協賛ヲ経タル民法中修正ノ件ヲ裁可シ茲ニ之ヲ公布セシム」云々と古色蒼然たる文辞で綴られています。民法がいかに古くからある法律であるかが分かる文章です。
なお、法規範には、これ以外に、題名と制定文の間に、制定や改正の経過を書く場合もあり、逆に、制定や改正の経過や目次が書かれない場合等もあります。
2本則
「本則」とは、その法令等の法規範の内容部分をいいますが、本則を書くのは、通常、「目次」の次になります。ただ、「本則」は、とくに「本則」という表題はつけません。ただし、「附則」の部分は「附則」と表題がつけられます。
では、法規範では、本則という言葉は使われないのか、というとそうではありません。「本則」という言葉は、それを書く必要がある場合は、附則の中に書かれることになっています。例えば、不動産登記法附則3条5項は、「・・・新法の適用については、新法本則・・・中「登記記録」とあるのは「登記簿」・・・とする。」と規定されていますが、この附則の規定の中に「本則」という文字が書かれているのです。
2 附則
「附則」とは、法令において、法令の付随的事項を定めることを目的として置かれるものです。一般に、施行日、経過的規定、関係法令の改廃等に関する事項が書かれています。
書かれる場所・位置は、本則の後、法令の最後の部分になります。本則とは区別して置かれるので「附則」との表題がつけられることになっています。
附則の中で、附則の条又は項を引用する場合には「附則第何条」又は「附則第何項」というように引用されますが、本則の条文の中で、本則の条又は項を引用する場合には「本則」という文字は書かれないことになっています。