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新著予定 二 施行・適用

菊池捷男

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1 施行の意味
法律の施行とは、「制定・公布されたがまだ未発動の状態にある法令を現実に働き出す状態に置くこと」(ぎょうせい発行:田島信威著「最新法令用語の基礎知識」486ページ)をいいます。

2 施行日
 法律に施行日に関する規定がないときは、公布の日から20日間を経過した日に施行されることになります(法例第1条)が、ほとんどの法律は、施行日が決められるか、政令に施行日を決めることを委任しています。
法令の多くは、附則に施行日が書かれています。「まえがき」に書いた、岡山弁護士会の会規案も、附則に施行日が書かれていました。また、ほとんどの会社の就業規則も、附則に施行日が書かれています。

 なお、「条例は、条例に特別の定があるものを除く外、公布の日から起算して十日を経過した日から、これを施行する。」(地方自治法16条3項)ことになっています。

3 珍しい現象
 法律の施行は法律の公布後になるのは当然ですが、国税通則法(昭和37年法律第66号)は、附則1条で「この法律は、昭和37年4月1日から施行する。」と規定しているのに、この法律が成立し公布されたのは、昭和37年4月2日です。
公布の1日前を施行日にしているのです。

 これは、4月1日を施行日にする予定で附則に施行日をあらかじめ4月1日と書き込んで法案を提出したものの、国会で法案の審議が紛糾し、その成立が遅れ、4月2日に成立(制定)したためです。

4 公布前の施行日の解釈
法律が公布されていないのに、施行することは物理的に不可能です。
そこで、この国税通則法附則1条の「この法律は、昭和37年4月1日から施行する。」との言葉は、「この法律は、昭和37年4月2日から施行し、同年4月1日から適用する。」と解釈されているのです(前掲「最新法令用語の基礎知識」)。

 ですから、就業規則を制定する場合に、間違えて、施行日を、就業規則を制定した日(例:平成25年6月10日)ではなく、その日より前の日(例:平成25年4月1日)にして附則にその旨を書いた場合、法律上の施行日は、就業規則が現実に制定された日(上の例では平成25年6月10日)になります。しかしながら、就業規則の施行日と就業規則をいつから適用するかという問題は別になりますので、就業規則の適用日は、就業規則に間違って施行日と書かれた日(上の例では平成25年4月1日)になります。
このように、法律や就業規則の施行日は、通常、附則に書かれますが、では、本則と附則はどのような関係にあるのでしょうか?これを次回取り上げます。


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菊池捷男(弁護士)

弁護士法人菊池綜合法律事務所

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