相続税のお話し 7 代償分割に潜む落とし穴
Q 昨年、父が遺言書を残さないで亡くなりました。相続人は、母と兄と私の3人です。今年、遺産分割協議に入りましたが、兄は、父の生前、自宅を買ってもらっていましたので、私は、「相続ノート」39ページに書かれているように、特別受益を持戻し計算して欲しいと言ったところ、兄は、自宅は自分のお金で購入したもので父から贈与を受けたものではないと言い張り、遺産分割協議ができません。
そこで、私から、兄の自宅が特別受益財産であることの確認を求める訴訟を起こすことは出来ませんか?
A
1 特別受益財産であることの確認訴訟は起こせません
最判平7.3.7は、特定の財産が、特別受益財産であるとしても、そのことで当然に特別受益財産を相続財産に持ち戻すべき義務が生ずるものでもない(筆者注:持戻し免除の意思表示があれば持戻し計算は出来なくなる)等の理由で、ある財産が特別受益財産に当たることの確認を求める訴えは、現在の権利又は法律関係の確認を求めるものということはできない(確認の利益はない)旨判示して、そのような訴訟は不適法であるとしました。