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相続相談 16 不動産の遺贈で注意すること

菊池捷男

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テーマ:相続相談

Q 不動産を遺贈する場合、担保権がついている不動産と借地権等の用益権がついてある場合とで効果が違うと聞きましたが、どう違うのですか?

A  
譬えて、言えば、
担保権つき不動産の遺贈は、担保権のない不動産の遺贈と同じ
借地権つき不動産の遺贈は、借地権のある不動産の遺贈でしかない
と言えるでしょう。

「解説」
1用益物件がついている場合

借地権がついている土地を遺贈した場合、受遺者は、借地権の負担付きで土地の所有権を取得します。受遺者から遺言者の相続人に、借地権の抹消を請求することはできません(民法1000条)。

2担保権がついている場合

しかし、抵当権がついた土地を遺贈した場合、受遺者は、その被担保債務まで引き継ぐことはないので、受遺者が自ら被担保債務を弁済すれば、その弁済額を主債務者(遺言者が主債務者ならその相続人)に対し求償(立替金の返還請求)ができ、結果的に、担保のない不動産の遺贈を受けたのと同じになります。

ですから、遺言者が、抵当権が付いているために価値がない不動産だと考えて、その価値のない不動産だから、“あいつ”に与えても良い、等と安易に考えて、“あいつ”にその不動産を遺贈すると、“あいつ”はその不動産の遺贈を受けた後、自らお金を出して抵当権を消滅させた上で、遺言者の相続人に対して、そのお金の求償をすることができますので、そのような遺言は、遺言者の意思に反して、相続人に多大な負担をかけることになってしまいます。

3 遺言者が、リスクを避ける方法
遺言者は、そのような負担を自分の相続人にかけたくないと思うときは、受遺者に、抵当権の被担保債権まで負担させる必要があります。
遺言書には、その旨、例えば、
「私はA宅地を、甲に、被担保債権の負担付きで遺贈する。」と書かなければならないのです。


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菊池捷男
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菊池捷男(弁護士)

弁護士法人菊池綜合法律事務所

迅速(相談要請があれば原則その日の内に相談可能)、的確、丁寧(法律相談の回答は、文献や裁判例の裏付けを添付)に、相談者の立場でアドバイス

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