交通事故 23 後遺障害① 自賠責が認めなかった後遺障害を認めた裁判例
1被保険者の意味
被保険者とは、保険金請求権者のこと。つまりは、保険者(保険会社)と保険契約者との間の契約により、その任意保険の保険会社に対し、保険金を請求できる者をいう。
被保険者は、損害賠償責任保険と傷害保険で、異なる。
2対人・対物損害賠償責任保険
「モデル自動車保険約款」では
①記名被保険者(保険証券記載の被保険者)
②被保険自動車を使用又は管理中の次の者
ア ①の配偶者(内縁を含む)
イ ①又はその配偶者の同居の親族(6親等内の血族・3親等内の姻族)
ウ ①又はその配偶者の別居の未婚の子(婚姻歴ある者を除く、との約款の例もある)
③許諾被保険者(記名被保険者の承諾を得た者。但し、自動車修理業者等の業者を除く。ホテル・レストランがサービスで与る場合は、業者とは言えない、とされている)
転貸は許諾被保険者とは言えないが、記名被保険者が黙示的に承認したと見られると、許諾被保険者になる(大阪地判平1.11.24)
④記名被保険者の使用者(但し、使用者が自賠法3条の保有者又は民法715条の使用者責任を負う場合の事故に限る)
【ケースで判断】
別居している子が妻子を連れて帰省して、父の自動車を無断で運転し、事故を起こしたケースで考えると、息子は①ではなく、②のいずれにも該当せず、③の許諾被保険者でもないので、息子は被保険者にはなりえない。しかし、父は、①に該当するので、保険金は支払われる。息子も、多くの場合、父の自動車を運転したことについては、父から、黙示的に許諾されていたと判断されるケースが多いと思われるが、その場合は、③の被保険者になる。
3 傷害保険(人身傷害補償保険・搭乗者傷害保険・無保険車傷害保険)の被保険者
①記名被保険者(保険証券記載の被保険者)
② ①の配偶者(内縁を含む)
③ ①又はその配偶者の同居の親族(6親等内の血族・3親等内の姻族)
④ ①又はその配偶者の別居の未婚の子
⑤ ①乃至④以外の者で、被保険自動車の室内に搭乗中の者
⑥ (保険商品によっては)①乃至④までに書かれた者が、被保険自動車以外の自動車を運転していたときに、室内に同乗していた者
【注意】
・⑤⑥の「室内に」いたというのは「正規の乗車装置または当該装置のある室内であるが、隔壁等により通行できないように仕切られている場所は除かれる。
・箱乗り等「極めて異常かつ危険な方法で搭乗している場合も除かれる。
・自動車修理業者等が、業務として被保険自動車を与っている場合も、除かれる。
・保険会社によって、扱いが異なる場合があるので、保険約款をよく読むこと