相続税のお話し 7 代償分割に潜む落とし穴
Q
遺言書があります。遺言書には1項で「遺言者はすべての財産を子Aとその夫B及びAB間の子CDに相続させ又は包括遺贈する。」2項で「前項の相続人および受遺者の相続分は、右4名の遺産分割協議をもって定めるものとする。」3項で、「遺言者は、この遺言の遺言執行者としてBを指定する」と書かれています。この遺言書は有効ですか?
A
有効です。
この遺言書では、遺言者の財産を、相続人であるAと相続人ではないBCDの4名に承継させようとする遺言者の意思が明白です。
相続人Aは、当然、相続人として遺産分割に与ることができます。
受遺者であるBCDは、包括受遺者ですので、民法990条で相続人と同様の権利義務を有しますので、これまた、遺産分割に与ることができます。
遺言者は、この4名の協議で、相続人Aと受遺者BCDの、取得割合や取得財産を決めることを委託していますが、相続分の指定や遺産分割方法の指定の委託は、民法に明文の規定があります。遺贈の委託については、明文はありませんが、最判平5.1.19は、受遺者が限定されている場合は、遺贈の委託も認めています。
以上から、この遺言者は、ABCD4名の間で遺産分割協議が整う限り、有効と考えられます。
「相続ノート」76.77ページを参照して下さい。
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