相続税のお話し 7 代償分割に潜む落とし穴
Q 親の世話をするために帰郷したのですが、同居していた親から生活費をもらっていた場合、その生活費は、特別受益としての贈与になりますか?
A 原則として、特別受益にはなりません。仮に、特別受益になるとした場合でも、特別受益の持戻しが免除があった、とされるケースが多いと思います。
【解説】
遺産分割の際の具体的相続分(相続財産額から取得できる金額)を算出するまでの計算式のうちの最初の計算式(みなし相続財産算出の計算式)は
「相続開始時の財産額+生前贈与額-寄与分」(相続財産+特別受益-寄与分も同じ。詳しくは、「相続ノート」49ページ参照)になりますが、
この計算式の「生前贈与」は、「婚姻若しくは養子縁組のため若しくは生計の資本として贈与」(民法903条)に限定されたものですので、
親御さんが自分の生活費としてあなたに支払った金額は、ここでいう(特別受益としての)贈与にはなりません。
仮に、その金額が、親御さんの生活費を超える金額であったとした場合は、その超える分について、特別受益としての贈与とされる可能性はありますが、
その場合でも、その支払いは、あなたから世話になっている親御さんの感謝の気持ちを表したものと考えられますので、持戻しが免除されたもの、とされると思われます(「相続ノート」36~37ページを参照)。