交通事故 21 逸失利益⑫ 定期金賠償は認められるか?
1 任意保険の意味
任意保険とは、強制保険(法律で契約の締結が義務付けられている保険)に対置される保険、すなわち、法律上、契約の締結が強制されない保険、保険契約を結ぶか結ばないか、また、どういう内容の保険契約を結ぶかも任意である、という意味の保険である。
2 任意保険の種類
⑴ サードパーティ型保険(被害者への支払にあてる保険)
被保険者が、第三者である被害者に対し損害賠償責任を負ったときの填補を目的とした保険を、サードパーティ型保険というが、これには、
ア 対人損害賠償責任保険
イ 対物損害賠償責任保険
がある。
⑵ ファーストパーティ型保険(自身が支払を受ける保険)
これは、被保険自動車の運転者、同乗者又は保有者等に生じた人損を填補する保険、あるいは、被保険車にかかる物損を填補する保険のことで、ファーストパーティ型保険と言われる。
ア 人身傷害補償保険(人身傷害補償条項)
イ 自損事故傷害保険
ウ 無保険車傷害保険
エ 搭乗者傷害保険
オ 車両保険
なお、ア~エは、上位概念として「傷害保険」と総称される。
3 対人賠償責任は自賠責保険の上乗せ保険
対人賠償責任保険は、自賠責保険でカバーできない部分、すなわち、自賠責保険や自賠責共済で支払われる保険金を超過した損害賠償責任について、保険金が支払われるので、これを「上乗せ保険」という。したがって、加害者の自賠責保険が切れていたため、自賠責保険から保険金が支払われない場合は、加害者が、自賠責保険金に相当する金額を、自己負担することになる。なお、この場合、被害者は、加害自動車が自賠責に加入していなかったのであるから、政府の保障事業に対し、補てんを請求できる。政府の保証事業から、被害者に損害賠償額の支払いをしたときは、政府は加害者に対し求償することができる。