交通事故 25 後遺障害③ PTSD(心的外傷性ストレス障害)
1 運行供用者
交通事故によって損害賠償義務を負う者は、第1に、運行供用者である。すなわち、自賠法3条本文は「自己のために自動車を運行の用に供する者は、その運行によつて他人の生命又は身体を害したときは、これによつて生じた損害を賠償する責に任ずる。」と規定しているが、ここでいう「自己のために自動車を運行の用に供する者」が、運行供用者である。加害車両の所有者は、通常、運行供用者になるが、それ以外の者も運行供用者になる場合がある。詳しくは別に解説する。
運行供用者の損害賠償義務の根拠規定は、この自賠法3条になる。
なお、この運行供用者責任は、対人賠償責任のみであり、対物賠償責任はない。
2 加害者
損害賠償義務を負う者の2番目にくるのが加害車両の運転者、つまりは加害者である。
民法709条は「故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。」と規定しているので、加害者に故意又は過失があれば、損害賠償義務を負うことになる。
加害者の損害賠償義務の根拠規定は、民法709条である。
3 加害者の使用者
民法715条1項本文は「ある事業のために他人を使用する者は、被用者がその事業の執行について第三者に加えた損害を賠償する責任を負う。」と規定しているので、これを根拠に、被用者が、事業の執行について自動車を運転し民法709条に違反したときは、使用者に損害賠償義務が生ずる。