交通事故 23 後遺障害① 自賠責が認めなかった後遺障害を認めた裁判例
1 自賠責保険に対する請求
⑴ 加害者からの請求は「保険金」の請求
自賠法(正しくは、自動車損害賠償保障法)15条は、「被保険者は、被害者に対する損害賠償額について自己が支払をした限度においてのみ、保険会社に対して保険金の支払を請求することができる。」と規定しており、加害者からの請求は「保険金の請求」である。
⑵ 被害者からの請求は「損害賠償額」の請求
自賠法16条は、「第3条の規定による保有者の損害賠償の責任が発生したときは、被害者は、政令で定めるところにより、保険会社に対し、保険金額の限度において、損害賠償額の支払をなすべきことを請求することができる。」と規定しており、被害者からの請求は「損害賠償額の請求」である。
2 自賠責保険における過失相殺
自賠責保険(正しくは、自動車損害賠償責任保険)からの支払には、原則として過失相殺をしない。それは被害者救済のためである。
3 例外としての「重大な過失による場合」
⑴ 通常の傷害にかかる自賠責保険金・自賠責損害賠償額については、被害者に7割以上10割未満の過失がある場合は、2割減額される。
⑵ 後遺障害又は死亡にかかるものについては、被害者に7割以上8割未満の過失がある場合は2割減額され、被害者に8割以上9割未満の過失がある場合は3割減額され、9割以上10割未満の過失がある場合は5割減額される、ことになっている。