交通事故 66 ヘルニア
1 評価損の意味
交通事故の被害車両を修理しても、外観や機能が事故前に比べて劣る場合(技術上の評価損)もあれば、事故歴があるという理由で交換価値が落ちる場合(取引上の評価損・格落ち損)もある。このような機能・外観の劣化や格落ち部分が評価損になる。
2 評価損の算定方法
⑴ 事故に遭わなかったとした場合の時価-修理後の価格
(事故に遭わなかった場合の時価はレッドブックやイエローブックにより、事故後の車両の価格は(財)日本自動車査定協会(「査定会」の審査員による事故減価証明書による。ただし査定会は自動車の骨格部位ではないリヤバンバーやトランクフードなどの修理だけの場合は、査定しない。)
⑵ 事故に遭わなかったとして場合の時価の一定割合
⑶ 修理費の一定割合(1~5割。3割前後が多い)この事例が多い。
⑷ ⑴と⑶の金額のうち低い方の金額
⑸ 種々の要素を検討して出した金額
の各方法がある。
3 評価損を認めた裁判例
⑴ BMWについて70万円(修理代142万円)
⑵ ホンダ・ステップワゴン165000円(修理代の2割)
⑶ BMW735iにつき538524円(修理費の3割)
⑷ メルセデスベンツCL600517230円(修理費の3割)
⑸ ランブルギーニ・ディアブロSE30につき2082456円(修理費の3割)
4 評価損を認めなかった裁判例
⑴ 国産車で左側ミラー下の損傷
⑵ 高級外車だが、軽微な損傷であり、部品交換によって完全に修復している
⑶ 時価145万円の車両を129万円かけて修理したので、評価損はない