遺言執行者観に関する謬説がなくなるまで①
最高裁昭和51.12.24判決は、公図上水路として表示されているものの、古くから水田等に作りかえられたことにより水路としての外観を喪失し、水田等として占有を続け、その占有により実際上公の目的が害されることもなかったため、黙示的に公用が廃止されていたとして、水路の取得時効の成立を認めています。
水路や堤防のような公共用財産を時効取得する場合の要件については、通常の時効取得の要件(20年間所有の意思をもって平穏・公然に占有すること、又は10年間所有の意思をもって平穏・公然かつ善意無過失で占有すること)に加え、
判例(上記最高裁判決)は「公共用財産が、長年の間事実上公の目的に供用されることなく放置され、公共用財産としての形態、機能を全く喪失し、その物のうえに他人の平穏かつ公然の占有が継続したが、そのため実際上公の目的が害されるようなこともなく、もはやその物を公共用財産として維持すべき理由がなくなった場合には、右公共用財産については、黙示的に公用を廃されたものとして、これについての取得時効の成立を妨げないものと解するのが相当である。」とし、占有開始時点までに公共物の黙示的廃止が成立していることが必要と解しています。