相続税のお話し 7 代償分割に潜む落とし穴
Q 伯父から、生前、マンションを遺贈するので、そこに設定された抵当権の被担保債務を弁済してくれないかと言われて断ったことがありますが、伯父は遺言を書いていて、このマンションを私に遺贈してくれているのです。遺言には、抵当権のことや被担保債務のことは何も書いていません。その伯父が亡くなったのですが、生前、伯父から言われていたこともありますので、このまま遺贈を受けてもいいのかどうか迷っています。私がマンションの遺贈を受けた後、金融機関に対し被担保債務を完済して抵当権の設定登記を抹消してもらった後で、その弁済した金額を伯父の相続人に対して請求できますか?
A
できます。
遺言にマンションの遺贈のことが書かれているだけなら、あなたは、マンションを取得しています。債務は、承継しません。
もし、あなたが、マンションに設定された抵当権を抹消してもらうために、債権者に対し、被担保債務を弁済すれば、その弁済額は、伯父さんの相続人全員に対し、相続分の割合で、請求することができるのです。それは、債務は、相続人が相続分の割合で相続しているからです。
ですから、抵当権のついた不動産を、被担保債務と共に、遺贈したいと考える人は、そのことを明確にして、受遺者に負担付き遺贈の遺言を書かなければなりません。
例えば、「私は、甥の○夫に、○夫が凸山マンションの土地建物に設定された抵当権の被担保債務を支払うことを○夫の負担として、凸山マンションを遺贈する。」という、負担付き遺贈を書かなければなりません。