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相続相談7 相続放棄をしたいが、その場合でも、交通事故による損害賠償の請求は出来るの?

2011年12月5日 公開 / 2016年3月15日更新

テーマ:相続相談

コラムカテゴリ:法律関連

コラムキーワード: 相続 手続き

Q 先日夫が交通事故で亡くなりました。夫は以前事業に失敗して多額の借金を抱えていますので、相続放棄をしたいと思います。その場合、交通事故による損害賠償請求権は認められないのですか?なお、私は、それまで夫の給与・賞与で生活をしていた専業主婦です。

A 亡くなられたご主人の権利の侵害については損害賠償請求権を相続しませんが、あなた固有の権利の侵害対しては、損害賠償の請求が出来ます。

通常、交通事故による損害賠償請求権の中味の主なものは、逸失利益と慰謝料です。
逸失利益は、ご主人が生きていれば受けることが出来た給与などの利益の喪失を言います。これは、ご主人の権利ですので、相続の対象になります。
したがって、相続放棄をすると、あなたはその権利を相続することはできません。
しかしながら、あなたは、ご主人の働きによる給与で生活されていたのですから、ご主人に対し扶養請求権を有していたということができます。この扶養請求権は、あなた固有の権利ですから、あなたはご主人の交通事故によって、この権利が侵害されたと考えることもできます。その場合は、あなたはその損害賠償の請求が出来ることになります。
東京地裁平成12.9.13判決は、交通事故で死亡した被害者の内縁の妻として、被害者から扶養されていた者は扶養請求権侵害として、被害者の逸失利益の50%を賠償請求できると判示しました。また、内縁の妻の固有の慰謝料として500万円を損害賠償請求の対象として認めています。
なお、逸失利益の残りの50%は被害者の子供に権利を認めており、また、その子らに合計1400万円の慰謝料(内縁の妻の慰謝料を含めた慰謝料は1900万円)を認めていますので、この判決は、結局のところ、相続権のない内縁の妻に相続権を認めたのとほとんど同じ経済的な結果を与えています。

ですから、あなたの場合、ご主人の財産について相続放棄をされても、あなた固有の扶養請求権や慰謝料は、当然に認められることになります。

この記事を書いたプロ

菊池捷男

法律相談で悩み解決に導くプロ

菊池捷男(弁護士法人菊池綜合法律事務所)

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