不動産 農地を買って仮登記している場合の権利と時効
東京地裁平成13.11.8判決を紹介します。
1 事件の背景
甲社・・・新築マンションのディベロッパー
乙社・・・その子会社で分譲マンションの販売会社
丙社・・・マンションの南の土地(甲社所有の土地)を買い、二階建て建物を建ていわゆる建売住宅として販売した工務店で、甲社と密接な関係にあった。
ABCDE5名・・・分譲マンションの一階の住戸や二階の住戸を買った購入者
購入者が一階や二階を買った理由・・・甲社や乙社の従業員が、南に隣接した土地は甲社の所有であり、甲社は、そこには現状(平家建て建物)以上の高い建物は建てないと虚偽の説明をしたため。
2甲社と乙社の責任
虚偽の説明による共同不法行為あるいは債務不履行
3丙社の責任
⑴甲社と乙社との共謀の事実は立証できていないので、認められない(故意責任は否定)
⑵南隣接地を購入してここに二階建て建物を建築すると、ABCDE5名が得ていた日照、通風、眺望の利益を侵害することなることは予見できた(予見義務)ので、二階建て建物を建ててはならないという義務(結果回避義務)に違反した過失がある。
4その他の事情
マンション付近一帯は市街化調整区域で、近隣は個人の低層住宅が建ち並び、高層住宅はない。
丙社は、約1mも盛土をして建売住宅を建てた。
丙社の行為は営利目的である。
5損害の内容
①価格の評価落ち分
②価格の落ち分に対応する銀行金利
③慰謝料
④弁護士費用