不動産 公図の歴史
冠水しやすい土地は、隠れた瑕疵があると言えるか?
1瑕疵ではない
東京高裁平成15.9.25判決は、
地盤が低く、降雨等により冠水しやすいという土地の性状は、通常、付近一帯の土地の価格評価に織り込まれていること、また、道路の排水設備の整備等によって改善されうる性質のものであることからして、独立して瑕疵であることを認めることは困難である、判示しました。
東京地裁平成19.1.25判決も、また、東京地裁平成19.10.30判決も、同じ結論です。
2瑕疵でなくとも、告知義務はあるか?
東京高裁平成15.9.25判決は、
土地の性状に関して説明義務が否定されるものではないが、冠水傾向についての説明義務を基礎づける法令上の根拠や業界慣行もないことなどから、結果として告知義務違反を否定しました。東京地裁平成19.1.25判決も、また、東京地裁平成19.10.30判決も、同じ結論です。
3 気になること
この判決に示された見解が一般論として通用するのか?と言えば、疑問です。
たしかに、降雨により冠水し易いという土地の性状は、価格評価に織り込まれてはいるでしょうが、現実に土地を買い受けた人には、その土地が冠水し易い土地という認識がない場合もあるでしょう(ほとんどのケースでそう言えるのかもしれません)。その場合、例えば、台風時に家屋内まで浸水するようなことになったときでも、その損害は買主が負担すべしというのでは、一般の理解は得られないのではないかと考えます。さらに、浸水しやすくなった原因として、宅地造成における法令や地方公共団体による条例で要求された高さに違反している場合だと、ますます、一般の理解は得られないと思います。ですから、ケースによっては、瑕疵になり、告知義務に違反する場合もあると考えられます。